サヘル・ローズ:戦禍を生き抜き、女優として、活動家として輝く人生
サヘル・ローズさんは、
イラン西部出身の
タレント、
俳優、
コメンテーターとして日本で活躍されています。
1985年10月21日生まれ。
愛称は「さっちゃん」。
生い立ち:戦争と孤児院、そして日本へ
サヘル・ローズさんは、
イラン・イラク戦争下の
1989年、
イラン西部の小さな町で14人兄弟の末っ子として誕生しました。しかし、戦争の混乱の中で、4歳の時に家族と離れ離れになり、
孤児院で7年間を過ごします。その後、
テヘラン大学の
ボランティア、フローラ・ジャスミンさんに救われ、7歳でフローラさんの養女となりました。養母フローラさんの実家からの反対を押し切り、
1993年、フローラさんと共に日本へ渡ります。
日本での生活は決して平坦ではありませんでした。ビザの問題、経済的な困窮、そして夫からの虐待など、幾多の困難に見舞われます。しかし、周りの人々の温かい助けもあり、母子で困難を乗り越えていきました。小学校の給食調理員の方の助けや、小学校の校長先生から日本語を学ぶなど、様々な人々との出会いが、彼女の支えとなりました。
中学校時代には、深刻な
いじめや
差別を経験し、
自殺を考えた時期もあったといいます。しかし、彼女はそこから立ち上がり、高校では園芸高校に進学。学費を稼ぐため芸能事務所に登録し、外国人
エキストラとして活動を始めました。
芸能活動:女優としての活躍と人道支援
高校3年生の時に
ラジオ番組のオーディションに合格し、芸能界入り。その後、モデル、
ラジオ番組出演を経て、
テレビ番組にレギュラー出演するようになります。日本テレビ『
THE・サンデー』では「滝川クリサヘル」として、
滝川クリステルさんのものまねでニュースを読むなど、バラエティに富んだ活動で人気を集めました。
女優としても活躍し、舞台『恭しき娼婦』では主演を務めるなど、幅広い役柄に挑戦。映画『冷たい床』では、
ミラノ国際映画祭で最優秀主演女優賞を受賞するなど、高い評価を得ています。
芸能活動と並行して、サヘル・ローズさんは人道支援活動にも力を入れています。
2012年から
児童養護施設の支援や、国際人権NGO「すべての子どもに家庭を」の親善大使を務め、世界中を旅しながら、
難民キャンプや
孤児、ストリートチルドレンなど、子どもたちの支援活動を行っています。
2020年にはアメリカで「人権活動家賞」を受賞しています。
人物:多様な才能と強い意志
サヘル・ローズさんは、
ガーデニング、絨毯織り、カフェ巡りなど多彩な趣味を持ち、日本語、ペルシャ語、ダリー語、タジク語を話すことができます。イスラム教徒であり、強い信仰心を持っています。
幼少期の戦争体験によるトラウマを抱えながらも、彼女はそれを乗り越え、常に前向きに生きてきました。自身の経験から、「血の繋がっていない人同士でも愛し合うことが出来る」というメッセージを発信し続け、将来は
イランに
孤児院を設立することを目標に掲げています。
2015年には
イランへ帰国し、自身が
孤児院で育ったという事実の真相を知りました。それは、家族に捨てられたのではなく、「家族に置き去りにされた子」だったという事実でした。
2011年の
東日本大震災後には、被災地
岩手県山田町を訪問し、炊き出しを行い、被災者支援にも尽力しました。他にも、数々の
テレビ番組や映画、舞台に出演し、ラジオパーソナリティとしても活躍。その活動は多岐に渡り、常に社会貢献を意識した活動を続けています。
まとめ:困難を乗り越える力強さと、未来への希望
サヘル・ローズさんの人生は、戦争、貧困、
差別など、多くの困難に満ちていました。しかし、彼女は周りの人々の支えや、自身の強い意志によってそれらを乗り越え、女優や活動家として成功を収めました。彼女の経験は、多くの人々に勇気と希望を与え続けています。そして、彼女の活動は、これからも多くの人々の心を動かし続けることでしょう。