サボタージュ (アルバム)

ブラック・サバスの6thアルバム『サボタージュ』は、バンドの創造性が頂点に達した時期の作品として、音楽史にその名を刻んでいます。1975年にリリースされた本作は、ヘヴィメタルの範疇に留まらず、プログレッシブ・ロックや実験音楽の要素を取り入れた、意欲的なサウンドが特徴です。

アルバムは、重厚なリフとオジー・オズボーンの独特なボーカルが印象的な「ホール・イン・ザ・スカイ」で幕を開けます。続く「ドント・スタート」は短いながらも、アルバム全体の不穏な雰囲気を演出しています。そして、「悪魔のしるし」は、その革新的なギターリフと複雑なリズム構成で、ヘヴィメタルの新たな可能性を示唆しました。

「誇大妄想狂」は、約10分に及ぶ大作であり、ドラマティックな展開と、トニー・アイオミの卓越したギタープレイが堪能できます。また、「スリル・オブ・イット・オール」は、よりメロディアスな要素を取り入れ、聴きやすい楽曲に仕上がっています。

アルバム中盤のハイライトである「帝王序曲」は、荘厳なコーラスとオーケストラを導入した、異色のインストゥルメンタル曲です。続く「発狂」は、ラジオエディット版であり、アルバムの中でも比較的ポップな楽曲ですが、歌詞の内容は狂気と不安に満ちています。「リット〜ブロウ・オン・ア・ジャグ」は、8分を超える大作であり、アルバムのラストを飾るにふさわしい、ドラマティックな展開が特徴です。

本作には、オジー・オズボーン（ボーカル）、トニー・アイオミ（ギター）、ギーザー・バトラー（ベース）、ビル・ワード（ドラムス）という、ブラック・サバスの黄金期を支えたメンバーに加え、ジェラルド・ウッドラフ（キーボード）、ウィル・マローン（指揮）が参加しています。プロデューサーとエンジニアはマイク・バッチャー、エンジニアはロビン・ブラック、テープ・オペレーターはデビッド・ハリスが担当しました。

『サボタージュ』は、ブラック・サバスの作品の中でも、特に実験的な要素が強く、賛否両論が分かれるアルバムですが、その革新的なサウンドと、バンドの創造性が結実した作品として、高く評価されています。ヘヴィメタルの歴史を語る上で、決して欠かすことのできない重要な作品です。

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