サボテンの花 (小説)

宮部みゆき『サボテンの花』

概要

『サボテンの花』は、作家・宮部みゆきによる短編小説です。1989年に『小説現代』に掲載され、短編集『我らが隣人の犯罪』にも収録されています。小学校を舞台に、子供たちの突飛な発想と、それを温かく見守る大人たちの姿を描いた作品です。

あらすじ

物語は、小学校卒業を間近に控えた6年1組の子供たちが、「サボテンの超能力」を研究したいと言い出すところから始まります。担任の宮崎先生は、子供たちの突拍子もない発想に猛反対しますが、定年を間近に控えた権藤教頭は、子供たちの自由な発想を尊重し、研究を許可します。

しかし、子供たちは研究と称して様々な騒動を引き起こし、他の教師や保護者からの風当たりも強くなります。権藤教頭は、子供たちの保護者や他の教師たちの対応に追われる日々を送ります。

実は、6年1組の生徒たちは、以前にも植物園の開園に合わせて学校を脱走し、教師たちを騒がせたことがありました。その際に協力したのが、大学生の秋山徹でした。秋山はその後も子供たちの研究をサポートし続けます。

そして、研究発表の日。子供たちはサボテンの超能力を披露しますが、それは秋山が仕掛けたトリックでした。実は、子供たちの超能力研究は、権藤教頭の「この世に一つだけの酒を飲む」という夢を叶えるために、テキーラを醸造するという目的を隠すための口実だったのでした。

メディアミックス

テレビドラマ

1991年9月23日には、関西テレビ・フジテレビ系列の「不思議サスペンス」枠でテレビドラマ化されました。紺野美沙子、福原学、田村高廣などが出演しています。

舞台

2002年には、『ありがとうサボテン先生』というタイトルで舞台化されました。脚本は成井豊、演出は水田伸生が担当しました。この舞台では、原作に登場する大学生・秋山徹の役割を果たす、しずくと月真和尚というオリジナルのキャラクターが登場しました。いかりや長介、佐藤アツヒロ、篠原ともえ、北村総一朗などが出演しました。

2007年には、演劇集団キャラメルボックスによって再演されました。脚本・演出は成井豊、共同演出は白井直が担当しました。この公演でも、しずくと月真和尚が登場し、6年1組の子供たちは大人の役者が演じました。西川浩幸、渡邊安理、菅野良一、コング桑田などが出演しました。

朗読劇

2015年には、青二塾内の小劇団『アトリエ「ん」』によって朗読劇化されました。脚色は満仲由紀子、演出は小林俊夫が担当しました。青二塾出身の声優たちが多数出演しました。

まとめ

『サボテンの花』は、子供たちの自由な発想と、それを温かく見守る大人たちの姿を描いた、心温まる物語です。小説だけでなく、テレビドラマや舞台など、様々な形で楽しまれており、多くの人々に愛されています。子供たちの純粋な気持ちと、大人たちの優しさが詰まったこの作品は、読む人、観る人に勇気と感動を与えてくれるでしょう。

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