サミュエル・ゴールドウィン

サミュエル・ゴールドウィン：ハリウッド黄金期の巨匠

サミュエル・ゴールドウィン (1879-1974) は、20世紀の映画史に大きな足跡を残した、伝説的な映画プロデューサーです。ポーランドの貧しいユダヤ人家庭に生まれた彼は、イギリス、そしてアメリカへと渡り、セールスマンとして成功を収めた後、映画業界へと進出しました。

当初は「サミュエル・ゴールドフィッシュ」という名前でしたが、アメリカで活動する際に「ゴールドウィン」へと改名。1917年からプロデューサーとして活躍を始め、後に「ゴールドウィン・ピクチャーズ」を設立します。これは、のちのメトロ・ゴールドウィン・メイヤー（MGM）の前身となる会社ですが、ゴールドウィン自身はMGM設立前に同社を離れています。

その後、「サミュエル・ゴールドウィン・プロダクションズ」を設立し、ハリウッド黄金期と呼ばれる時代、特に第二次世界大戦の前後において数々の名作を世に送り出しました。彼の作品は、時代を反映した社会派ドラマから、華やかなハリウッド作品まで多岐に渡り、高い評価を得ています。

数々の受賞と名高い作品群

ゴールドウィンの功績は、数々の賞によって認められました。アカデミー賞では、1947年にアービング・G・タルバーグ賞、1958年にはジーン・ハーショルト友愛賞を受賞。さらに、1939年にはアービング・G・タルバーグ賞にノミネートされています。ゴールデングローブ賞では、1973年にセシル・B・デミル賞を受賞しました。

彼の代表作には、『アルセーヌ・ルパン』（1932）、『仮面の男』（1933）、『女優ナナ』（1934）、『この三人』（1936）、『孔雀夫人』（1936）、『大自然の凱歌』（1936）、『市街戦』（1936）、『ステラ・ダラス』（1937）、『デッドエンド』（1937）、『ハリケーン』（1937）、『マルコ・ポーロの冒険』（1938）、『嵐が丘』（1939）、『西部の男』（1940）、『偽りの花園』（1941）、『教授と美女』（1941）、『打撃王』（1942）、『我等の生涯の最良の年』（1946）、『虹を掴む男』（1947）、『愚かなり我が心』（1949）、『野郎どもと女たち』（1955）、『ポギーとベス』（1959）などがあります。これらの作品は、現在も高い評価を受け続けており、映画史における重要な作品として広く認識されています。

作品の版権とゴールドウィン家

ゴールドウィンがユナイテッド・アーティスツやRKOと提携して製作した作品の大部分は、彼が版権を引き取った後、息子のサミュエル・ゴールドウィンJr.が設立したサミュエル・ゴールドウィン・カンパニーに引き継がれました。現在、これらの作品の版権は、アメリカではワーナー・ブラザースが、アメリカ以外ではパラマウント・ピクチャーズ（ミラマックス）が保有しています。『ハリケーン』（1937年）のみ、MGM傘下のユナイテッド・アーティスツが版権を保有しています。

ゴールドウィン家には、映画業界で活躍する人物が多くいます。息子のサミュエル・ゴールドウィンJr.、そして孫のジョン・ゴールドウィンとトニー・ゴールドウィンもプロデューサーや俳優、映画監督として活躍し、ゴールドウィン家の名は、現代においても映画界に大きな影響を与え続けています。

記憶に残るプロデューサーの生涯

サミュエル・ゴールドウィンは、貧しい環境から出発し、自身の努力と才能でハリウッドの頂点に上り詰めた、まさにアメリカンドリームを体現した人物と言えるでしょう。彼の製作した作品群は、映画史に燦然と輝く金字塔であり、彼の名前はこれからも長く語り継がれていくことでしょう。彼の生涯を描いた伝記『虹を掴んだ男 サミュエル・ゴールドウィン』（A.スコット・バーグ著）なども、彼の波乱に満ちた人生を知る上で貴重な資料です。

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