サムエル・フルトン

サムエル・ピーター・フルトン（Samuel Peter Fulton、1865年8月17日 - 1938年9月15日）は、アメリカ合衆国出身の宣教師であり、明治時代に来日し、福音主義神学の発展に貢献しました。

生涯

1865年、フルトンはアメリカのサウスカロライナ州で誕生しました。コロンビア神学校とユニオン神学校で神学を深く学び、博士号を取得しました。神学研究に励んだ後、1888年（明治31年）に南長老ミッションの宣教師として日本へ派遣され、宣教活動を開始します。

明治学院で教鞭を執るようになった1901年（明治34年）、フルトンは組織神学の講義において自由主義神学の教科書を採用した植村正久と神学的な見解の相違から対立することになります。この対立がきっかけとなり、南長老ミッションは独自の神学校を設立するに至りました。一方、植村は東京神学社を設立し、独自の神学教育を推進しました。

1907年（明治40年）には、フルトンは神戸神学校の校長に就任し、後進の育成に尽力しました。1927年には、神戸神学校と大阪神学院が合併して中央神学校が設立されると、初代校長としてその重責を担い、組織神学や新約聖書学の教鞭を執りました。

1938年9月15日、フルトンは静養先の長野県軽井沢町で生涯を閉じました。彼の遺体は神戸の再度山修法ヶ原外国人墓地に埋葬されています。

中央神学校は1942年に閉鎖されましたが、フルトンの意志は岡田稔によって引き継がれ、神戸改革派神学校として新たな道を歩み始めました。

フルトンの生涯は、日本のプロテスタント神学の発展に大きな影響を与えました。福音主義の立場から、日本の神学界に貢献した彼の業績は、今日においても高く評価されています。

参考文献

* 中村敏『日本における福音派の歴史』いのちのことば社、2000年

もう一度検索