再度山

再度山：歴史と自然が織りなす神戸の聖地

神戸市中央区と北区の境付近に位置する再度山は、六甲山地の西部に広がる標高470mの山です。花崗岩を主とした地質で、錨山や市章山といった周辺の山々と一体を成しています。北麓からは天王谷川、北東麓からは生田川、南麓からは再度谷川が流れ出ており、豊かな水資源に恵まれた環境です。

歴史の息吹：古の霊場から現代の名勝へ

古くは「多々部山」と呼ばれていた再度山は、奈良時代には和気清麻呂が創建したと伝えられる観音霊場が存在していました。その歴史は現在も大龍寺として受け継がれています。慶長年間には北麓に塩ヶ原池（現在の修法ヶ原池）が築かれるなど、古くから人々の生活と深く関わってきたことが伺えます。

明治35年以降は緑化事業が進められ、神戸市による永続的な保護活動によって、豊かな自然環境が守られてきました。昭和12年には再度公園が整備され、多くの人々に親しまれる憩いの場となりました。その自然の豊かさは広く認められ、1982年には「森林浴の森100選」や「21世紀に残したい日本の自然100選」に選定。その後、国の登録記念物、そして2007年には「再度公園・再度山永久植生保存地・神戸外国人墓地」として国の名勝に指定されるなど、その価値は高く評価されています。山頂近くにある「湊川神社神苑」の石碑は、昭和13年の土地無償貸与計画の名残りを今に伝えています。

空海の伝説と山名の由来

再度山の名前の由来は、弘法大師空海にまつわる伝説に遡ります。延暦23年（804年）、空海が入唐する際に、航海の安全と学問成就を祈念してこの山（当時は「摩尼山」と呼ばれていたとされる）に参拝。そして唐からの帰国後、無事に帰還できたことに感謝し、再びこの山に登って修行を行ったと伝えられています。この「二度」の登山が、現在の「再度山」という山名の由来とされています。

ハイキングと観光：自然と歴史を満喫

再度山は、ハイキングコースとしても人気があります。修法ヶ原から北側登山道を登り、山頂から南側へ下ると、空海が彫ったと伝えられる「亀石」と呼ばれる大きな磐座を見ることができます。六甲山地の他の山々同様、山頂からは神戸市街地と大阪湾を一望できる絶景が広がります。新神戸駅からのアクセスも良好で、気軽に自然を満喫できる魅力的な場所です。

再度公園、神戸市立外国人墓地、大龍寺、猩々池など、歴史と自然を体感できる観光スポットも点在しています。これらの史跡や観光地は、再度山の歴史と文化を深く理解する上で貴重な存在となっています。

アクセス

再度山へのアクセスは、神戸市営バス25系統（三宮駅前発 森林植物園行）を利用するか、再度山ドライブウェイを利用することができます。バスは土日祝日のみ運行されているため、注意が必要です。

再度山は、歴史と自然が織りなす、神戸を代表する貴重な場所と言えるでしょう。その豊かな自然と歴史的背景は、これからも多くの人々に感動とやすらぎを与え続けることでしょう。

もう一度検索