サルス (軍人)

サルス (5世紀のゴート人軍人)

サルス（生年不詳 - 413年）は、5世紀に西ローマ帝国で活躍したゴート人軍人です。兄弟に西ゴート王国の指導者となったシゲリックがいます。

生涯

サルスはホノリウス帝に仕え、406年から413年という短い期間に目覚ましい活躍を見せました。当時の歴史家オリュンピオドロスは、彼を勇猛果敢な英雄として記録しています。

ファエスラエの戦い

サルスの最初の功績は、406年のファエスラエ（現在のフィエーゾレ）におけるラダガイススとの戦いです。スティリコやウルディンらと共にラダガイススを打ち破りました。

コンスタンティヌス3世との戦い

407年、ブリタンニアのローマ軍団がコンスタンティヌス3世を皇帝と宣言し、ガリアに上陸。ホノリウス帝はスティリコに討伐を命じ、サルスを派遣しました。サルスはコンスタンティヌス3世の将軍を討ち破るなど活躍しましたが、スティリコが処刑されると戦況は一変。ホノリウス帝がコンスタンティヌス3世を共同皇帝として承認せざるを得なくなりました。

アラリック襲撃

スティリコの処刑後、ローマで蛮族出身者の虐殺が始まり、逃亡した人々がゴート王アラリック1世に助けを求めました。アラリック1世はローマを包囲し、元老院はホノリウス帝を廃位して新たな皇帝を擁立。ホノリウス帝はアラリック1世との交渉を試みましたが、サルスにアラリック1世を急襲させたため、アラリック1世はローマを略奪しました。

ヨウィヌスへの合流と最期

412年、サルスはホノリウス帝のもとを離れ、ガリアで擁立されたヨウィヌスの陣営に加わろうとしました。しかし、ヨウィヌスの協力者であるアタウルフの軍勢に襲われ、殺害されました。この事件がきっかけとなり、ヨウィヌスとアタウルフの関係は破綻。ヨウィヌスは処刑されることとなりました。

サルスの死後、彼の元家臣がアタウルフを殺害し、復讐を果たしました。また、彼の兄弟シゲリックが西ゴート王国の指導者となりました。

サルスの生涯は、西ローマ帝国の衰退期における権力闘争や蛮族の侵入といった動乱を背景に、一人の軍人がいかに生きたかを示す物語として語り継がれています。

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