サルトラム

サルトラム：18世紀イギリス競馬を彩った名馬

1780年から1802年にかけて活躍したサラブレッド競走馬、サルトラム。その名は、18世紀末イギリス競馬史に燦然と輝く一星として、今もなお語り継がれています。

華麗なるダービー制覇

サルトラムは、1783年に行われた第4回ダービーステークスで栄光の優勝を掴みました。父は伝説的名馬エクリプス、母はビラーゴという、まさに名門の血統を受け継いでいました。15.3ハンド（約160センチメートル）という恵まれた体格は、当時の競走馬としては大柄で、その力強さはレースでも遺憾なく発揮されました。

ダービーでの競争は熾烈を極めました。2着には25戦中23勝という驚異的な戦績を持つ強豪ダンガノン、3着にはパーリントンが名を連ねています。強敵を相手に、サルトラムは堂々の勝利を収め、その実力を証明しました。翌1785年、クレーヴンステークスでダンガノンと再戦した際には敗れましたが、ダービーでの勝利は、彼の偉業として永遠に刻まれることとなりました。ちなみに、この1783年のダービーは、1マイルで行われた最後の一戦でした。

種牡馬としての成功とアメリカへの渡航

競走馬としてのキャリアを終えたサルトラムは、種牡馬となりました。彼の血統は、多くの優れた競走馬を生み出す礎となりました。特に、イギリスに残した代表産駒であるウィスキーは、ダービー馬エリナーを輩出するなど、その成功は目覚ましいものがありました。ウィスキーの父系子孫は、1830年代まで活躍馬を出し続け、サルトラムの血統の偉大さを示しています。

1800年には、サルトラムはアメリカ・ヴァージニア州へと輸出されました。アメリカ初期の名馬ティモレオンの母の父として、アメリカ競馬史にもその名を刻み込むこととなります。

短い生涯と不朽の遺産

1802年、サルトラムはヴァージニア州で22歳の若さでその生涯を終えました。しかし、彼の輝かしい競走馬としての功績、そして種牡馬としての成功は、後世へと受け継がれ、今もなお人々の記憶に鮮やかに刻まれています。全妹であるアネットも1787年のオークスを制した名馬であり、サルトラム一族の輝きは、イギリス競馬史に燦然と輝き続けるでしょう。彼の血統は、現代の競走馬にも受け継がれており、サルトラムの遺伝子は、これからも競馬界に貢献し続けることでしょう。ダービーステークス優勝という栄光、数々の名馬を輩出した種牡馬としての成功、そしてアメリカ競馬への貢献。サルトラムの短い生涯は、まさに華々しく、そして偉大なものでした。

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