サルフの戦い

サルフの戦いについて

サルフの戦いは、1619年にヌルハチが指導する後金が明朝および朝鮮の連合軍と衝突し、決定的な勝利を収めた歴史的事件です。この戦闘は、後金の興隆にとって重要な転機となり、明から清朝への王朝交代へと繋がる道を開きました。

戦いに至る経緯

後金の建国者であるヌルハチは、1616年にハンとして即位し、1618年には「七大恨」を掲げて明に対して宣戦布告を行いました。これに応じて明は、遼東の拠点撫順を守るために楊鎬を派遣しました。しかし、明軍は資金不足のため兵力を効果的に集めることができず、遅れが生じました。

楊鎬は兵力の補充を図るため、後金との間に対立関係にあったイェヘ部族と朝鮮へ援軍を要請しました。イェヘ部はこれに応じ、朝鮮は戦争に出兵することを決定しました。国王の光海君は出動を渋りましたが、明に救援された恩義から出兵を承認し、約1万の兵力を供給しました。

1619年、明は10万人の大軍を4つの軍団に分け、ヌルハチの本拠地へと迫る作戦を展開しました。北路、西路、南路、東南路の4方面から同時に進軍し、戦略的な包囲を図りました。

サルフの戦いの展開

ヌルハチは、明軍が同時に攻撃してくることを避けるため、各個撃破の戦法を採用しました。明軍の進軍が雪の影響で遅れた結果、最初に西路の杜松がサルフに辿り着きましたが、彼は明軍の援軍が到着する前にサルフに攻撃を開始しました。杜松軍はサルフ山を占領したものの、すぐに後金の反撃を受けます。

ヌルハチは、後金軍の守備隊が明軍の状況を見誤る隙を突いて攻撃に出ました。この突然の奇襲により明軍は混乱し、劣勢に立たされました。特に火器の使用が困難な状況下で接近戦に持ち込まれ、多くの指揮官が戦死する結果となりました。

その後の戦闘

西路の杜松が壊滅した情報が伝わると、北から合流を計画していた馬林軍は、戦局に備えて防御態勢を整えました。馬林の軍団も後金の攻撃を受け、最終的には敗北に至ります。

さらに、李如柏と劉綎の連合軍は、明の主力から孤立して戦っていましたが、後金の戦術に敗れ、多くが戦死しました。朝鮮軍においても同様の混乱が生じ、投降する者が相次いで危機的な状況に陥りました。

戦いの結果と影響

サルフの戦いにおける明の敗北は、指揮官間の連携欠如や連絡不足が主な要因でした。この結果、明の遼東勢力は衰退し、後金は次々と地域を制圧していきました。この戦闘は、後の清朝成立に向けての重要な一歩であり、歴史に大きな影響を与えました。サルフの戦いは、単なる軍事対決のみならず、明と清の時代を分かつ重要な出来事として記憶されています。

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