後金

後金（こうきん）

後金は、1616年から1636年までの間、満洲に存在した満洲人（女真人）の国家であり、その後の清の基盤を築いた重要な時期を代表しています。この国は、愛新覚羅氏のヌルハチによって設立され、1588年までに建州女直を統一し、マンジュ国を形成していました。ヌルハチは、ヘトゥアラ（後の興京）を首都として、富国強兵を目指しました。

国家の基盤と成長

ヌルハチは、国家の制度を整えるためにエルデニらを指導し、満洲文字を定め、社会的な軍事組織である八旗制を創設しました。この体制は、後の清代の軍事や社会の基礎となり、彼の統治を支える重要な要素となりました。

1618年、後金は「七大恨」というスローガンを掲げて明に対する戦争を開始します。遼東の明の重要な拠点を狙い、1619年にはサルフの戦いで明の大軍を撃破し、女真民族の完全な統一を成し遂げます。1621年には明の遼東支配の拠点である遼陽と瀋陽を征服し、遼陽に都を移します。この頃には、ヌルハチの支配範囲は遼河の東方にまで広がっていました。

1626年、ヌルハチは大軍を率いて遼河を越え山海関に向かうも、寧遠の戦いで西洋の火器を持つ袁崇煥の軍に敗れました。この戦いはヌルハチにとって転機となり、同年に彼は死去します。

後金の後継者と発展

ヌルハチの死後、その子ホンタイジ（皇太極）が後を継ぎます。彼はモンゴルのチャハル部を平定し、朝鮮を従属させました。また、民族の呼称を女真から満洲に改称し、1632年には満洲文字を改良するなど、さらなる改革に乗り出します。1636年には国号を「大清」と改め、清としての体制を整えると共に、中国全土への進出を図りました。

歴代のハーンと国家運営

後金の統治を支えたのが、歴代のハーンです。ヌルハチの後に即位したクンドゥレン・ハーン（在位1616年 - 1626年）や、ホンタイジ（在位1626年 - 1636年）などがその重要な役割を果たしました。また、ヌルハチは「スンジャ･アンバン」と呼ばれる五大臣を設け、国政を共同で運営しました。これにより、安定した政治基盤を確立しました。

文化と歴史的な遺産

後金の残した文化や制度は、後の清に大きな影響を与えました。八旗制や満洲文字、さらには女真民族から満洲民族への名称変更などがその一例です。さらに、後金は明の滅亡後に中国全土を治めることになり、1911年の辛亥革命に至るまでの長い統治を実現します。

このように、後金はただの国家にとどまらず、その後の清朝の成立と、アジアの歴史における重要な一ページを刻んだのです。

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