サルマン・ハシミコフ

サルマン・ハシミコフ：ソビエト連邦からプロレス界へ

サルマン・ハシミコフ（Salman Hashimikov）は、1953年5月4日に旧ソビエト連邦で誕生したプロレスラーであり、冷戦の最中に唯一無二の人物として知られています。彼は数々のプロレスラーが「ロシア出身」を名乗る中、実際にソ連出身の選手として注目を浴びた存在です。

来歴

ハシミコフはもともとレスリングのフリースタイル100kg級の選手でした。1971年と1973年に世界ジュニア選手権で優勝し、1979年には世界選手権で初めての栄冠を手にしました。その後、1981年から1983年にかけては連続3回の優勝を果たし、彼の名はレスリング界に刻まれました。しかし、1976年のモントリオールオリンピックと1980年のモスクワオリンピックには、代表選手として出場が決まっていたものの、いずれも負傷したため参加を果たせませんでした。

彼の転機は、1980年代後半のペレストロイカ政策以降でした。この政策により、ソビエト連邦の国家スポーツ委員会は新日本プロレスと提携を結び、彼はプロレスの道へと進むことになります。1989年2月22日、彼はその道の第一歩を踏み出し、レッドブル軍団のリーダーとして日本へ初来日しました。デビュー戦は1989年4月24日、東京ドームの初興行において、クラッシャー・バンバン・ビガロをわずか2分26秒で下す圧倒的な結果を残します。

その後、彼は1989年5月25日にビッグバン・ベイダーが保持するIWGPヘビー級王座に挑戦し、見事に勝利を収め新王者となりました。しかし、7月12日には長州力に敗れ王座を失いますが、その後も活躍を続け、8月10日の両国国技館大会では橋本真也を撃破しました。さらに、12月31日には母国ロシアで開催された新日本プロレスのモスクワ大会で、マニー・フェルナンデスに勝利するという嬉しい結果が待っていました。

1990年の活動では、東京ドーム大会でスティーブ・ウィリアムスと対戦するも敗北。年末にはアメリカ合衆国のWCWに進出し、12月16日に開催された『スターケード』ではビクトル・ザンギエフとタッグを組みましたが、マサ斎藤とグレート・ムタのチームに敗退しました。さらに、1993年7月にはUWFインターナショナルに参戦し、高田延彦のプロレスリング世界ヘビー級王座に挑みました。

得意技と獲得タイトル

ハシミコフの得意技である「水車落とし」は彼のトレードマークとなり、試合の中で多くのファンを魅了しました。また、彼は新日本プロレスにおいてIWGPヘビー級王座を1回獲得した実績を持つ選手でもあります。彼の存在は、冷戦時代のプロレス界において、ソビエト連邦のアスリートがどのようにして世界の舞台でその力を示すかを象徴するものでした。

ハシミコフのプロレス人生は単なる競技者の枠を越え、国際的な交流とも深く関連していることを理解できます。彼の活躍は、多くの人々にとって記憶に残るものとなり、今なお語り継がれています。

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