サレルノ大学

サレルノ大学：中世の医学中心から現代の総合大学へ

サレルノ大学は、ボローニャ[[大学]]に次ぐ歴史を持つイタリアの古都サレルノにある総合大学です。その起源は、中世に栄えたサレルノ医学校に遡ります。正確な創設時期は不明ですが、9世紀には既に著名な医師が輩出し、医学研究が盛んに行われていました。フランスやイギリスの王族が療養に訪れるほど、その名声は高く、当時から高度な医学知識が蓄積されていたと考えられています。

サレルノ医学校の医学は、古代ギリシャ・ローマの医学理論を基礎としていましたが、11世紀末にはアラビア医学の影響も受けて発展しました。この医学校の隆盛は、12世紀にピークを迎えました。当時編纂された『サレルノ養生訓』は、ヨーロッパ全土に広まり、サレルノ医学校の国際的な名声を決定づけました。また、独自の医学カリキュラムである『アルティケッラ』や、世俗権力と医療の関係を法制化した点も、医学高等教育の制度化に大きく貢献しました。

医学校が正式に大学として組織化されたのは13世紀です。1231年、神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世の勅令により、シチリア王国における医学教育と医療行為は、サレルノ大学の医師による試験に合格した者のみが許されるようになりました。この勅令は、サレルノ大学の医学における優位性を明確に示したものです。ナポリ大学医学部の閉鎖や、大学統合の試みもあったものの、サレルノ大学は医学部のみを残し独立した存在として存続しました。1280年には、正式にストゥディウム・ゲネラーレ（中世大学）の公認を受けましたが、14世紀頃からは衰退の一途を辿ります。

15世紀以降は、哲学や法学なども教えられるようになり、一時的な再興も見られましたが、1812年には閉学を余儀なくされました。現在のサレルノ大学は、1944年に設立された教員養成大学を起源とし、1968年に州立大学として再建されました。その後、学部は拡大を続け、経済学、教育科学、工学、外国語、人文科学、法学、医学、理学、薬学、政治学の10学部を擁する総合大学へと発展しました。

このように、サレルノ大学は、中世における医学の中心地としての輝かしい歴史と、現代における総合大学としての発展という、二つの側面を持つ歴史を有しています。その歴史的重みと、現代の教育研究活動は、イタリアのみならず、世界中の人々の関心を集め続けていると言えるでしょう。 サレルノ大学は、その長い歴史と伝統、そして現代的な教育研究体制を融合させながら、今後も世界に貢献していくことでしょう。

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