ストゥディウム・ゲネラーレ

ストゥディウム・ゲネラーレ：中世ヨーロッパの高等教育機関

ストゥディウム・ゲネラーレ（Studium generale）は、中世ヨーロッパの大学の古称であり、「一般学問所」と訳されます。これは、神聖ローマ帝国が国際的な高等教育機関として公式に認定したもので、当時のヨーロッパにおいて最も権威ある学びの場でした。

初期のストゥディウム・ゲネラーレ

初期のストゥディウム・ゲネラーレは、主にイタリア、フランス、イングランド、スペイン、ポルトガルに設立されました。これらの大学は、当時ヨーロッパで最も名高い教育機関であり、学問の発展に大きく貢献しました。

特に、13世紀には、ストゥディウム・ゲネラーレを卒業した学者は、ヨーロッパ各地の教育機関で教鞭を執ったり、学術資料を共有することが広く認められていました。この精神は、今日のヨーロッパの大学における学術交流や協力の基盤となっています。

13世紀に認定されたストゥディウム・ゲネラーレ

13世紀当時、特にストゥディウム・ゲネラーレとみなされていたのは、以下の9大学です。

ボローニャ大学 (University of Bologna)
パリ大学 (University of Paris)
オックスフォード大学 (University of Oxford)
ケンブリッジ大学 (University of Cambridge)
モンペリエ大学 (University of Montpellier)
サラマンカ大学 (University of Salamanca)
モデナ・レッジョ・エミリア大学 (University of Reggio Emilia)
ヴィチェンツァ大学 (University of Vicenza)
サレルノ大学 (University of Salerno)（異論あり）
コインブラ大学 (University of Coimbra)（1290年にリスボンで創立）

これらの大学は、神学と世俗の学問の両方を扱う教育機関として認められ、その数は急速に増加しました。13世紀末までに、これらの多くは教皇勅書によって正式に「ストゥディウム・ゲネラーレ」として認定されました。教皇勅書は、当初はボローニャ大学やパリ大学のような特定の大学に特権を与えていましたが、次第に全ての大学で講義を行うことができる免状（万国教授資格、ius ubique docendi）を授与する特権を認めるようになり、大学間の学術交流を促進しました。

現代におけるストゥディウム・ゲネラーレ

現代のヨーロッパの大学においては、「ストゥディウム・ゲネラーレ」という言葉は、主に学生や一般市民を対象とした基礎的な学問を提供する講義やセミナーを指す言葉として使われています。これは、大学がより広い範囲の人々に教育の機会を提供しようとする伝統的な人文主義の理念に基づいています。

大学の専門分野に特化した教育だけでなく、幅広い知識と教養を身につけるための活動を指す意味合いで、この言葉は使われています。大学という枠組みを超えて、より多くの人々に学びの機会を提供しようとする試みは、まさにストゥディウム・ゲネラーレの精神を受け継ぐものと言えるでしょう。

ストゥディウム・パルティクラーレ

ストゥディウム・ゲネラーレとは対照的に、ストゥディウム・パルティクラーレ (Studium particulare) は、特定の地域に焦点を当てた大学を指します。これは、全ヨーロッパから学生や学者を集めるストゥディウム・ゲネラーレとは異なり、大学周辺の局所的なコミュニティに教育の場を提供することを目的としていました。

関連項目

* 現存する最古の大学のリスト (en)

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