サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会

サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会

サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会（イタリア語: Chiesa di Santa Maria della Vittoria）は、イタリアのローマに位置する小さなバシリカ教会です。9月20日通りに面しており、その美しい建築と歴史的背景から、多くの観光客が訪れるスポットとなっています。

歴史的背景

この教会は1605年に設立され、当初は跣足カルメル会により聖パウロに捧げられた礼拝堂として機能していました。しかし、1620年にボヘミアの白山の戦いでカトリック側が勝利を収めた際、この教会は聖母マリアに再び奉納されました。この歴史的勝利が、教会の「ヴィットーリア」という名前の由来となっています。また、1683年の第二次ウィーン包囲でオスマン帝国の国旗が取り入れられたことも、教会に勝利の象徴を与えています。

建設に関わったのは、当時の教皇パウルス5世の甥、スキピオーネ・ボルゲーゼです。彼は古代の大理石像「ボルゲーゼ・ヘルマプロディトス」を私物として扱っていましたが、教会のファサード建設資金を捻出したことで、建設が実現しました。1624年に資金が提供され、2年後の1626年に教会が完成しました。

建築様式

サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会は、初期バロック建築の側面を色濃く残しています。建築家カルロ・マデルノがこの教会の設計から完成までを指揮しましたが、1833年には火事の影響で内部が修復されました。教会のファサードは、建築家ジョヴァンニ・バッティスタ・ソリアが手掛けたものであり、当時、マデルノは存命でありました。ファサードの設計は、マデルノが設計したサンタ・スザンナ教会から影響を受けています。

教会内部は、広い単一の身廊を持ち、低いヴォールトが特徴です。内部は、金めっきされた柱頭を有する巨大なコリント式壁柱で区切られており、エンタブラチュアを支える役割を果たしています。壁面には、白や金めっきの天使たちやプットの像が化粧しっくいで浮き彫りされ、装飾性が高いです。1675年には天井にフレスコ画が施され、「大勝利」をテーマにした作品が描かれました。

彫刻と美術

教会の中でも特に注目すべきは、コルナロ礼拝堂にあるベルニーニの「聖テレジアの法悦」です。この彫刻はアビラのテレサの自叙伝の中の一場面を表現し、天使が彼女の心臓を金の槍で突くという神秘的なビジョンを描写しています。この彫刻は、古典的な美しさを超えた情熱や官能性を表現しており、見る者に深い印象を与えます。また、左の翼廊にはドメニコ・グイディの「聖ヨセフの夢」など、他にも数々の優れた彫刻があります。

文学と観光

この教会は、ダン・ブラウンの小説『天使と悪魔』に登場することで広く知られるようになり、現在では多くの観光客が訪れるようになりました。ただし、物語の展開上、教会の実際の位置関係が異なる描かれ方をしています。サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会は、その美しい建築と歴史的価値から、訪れる価値のある場所として多くの人々に愛されています。

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