サンタ・マリア号

サンタ・マリア号：コロンブスの旗艦、大西洋横断の歴史

サンタ・マリア号は、1492年にクリストファー・コロンブスが初の大西洋横断を敢行した際に使用された3隻の帆船の中で、最も大きな船でした。この船は、スペインで建造されたナオ船（キャラック船の一種）に分類されます。

概要

サンタ・マリア号は、全長23.5メートル、全幅7.29メートル、喫水2.1メートルという規模でした。3本のマストには横帆と縦帆が組み合わされ、バウスプリットにはスプリットセイルを備えていました。大西洋を横断し、バハマ諸島に到達するという偉業を成し遂げましたが、1492年12月24日にイスパニョーラ島で座礁し、解体されました。使用可能な大砲や木材は、要塞の資材として再利用されました。

この航海には、キャラベル船であるニーニャ号とピンタ号も参加しましたが、これら3隻はすべて中古船であり、探検のために特別に建造されたものではありませんでした。船団の中で最大のサンタ・マリア号が旗艦となりましたが、コロンブス自身は、その鈍重さと速度の遅さ、そして喫水の深さを嫌っていました。座礁後、コロンブスは自身の旗艦をニーニャ号に移しています。

船名はスペイン語で「処女降誕聖マリア」を意味します。しかし、当初は「マリガランテ（娼婦）号」という名前で呼ばれていました。新航路発見の旅にふさわしくないというコロンブスの意見により、サンタ・マリア号に改名されたという経緯があります。

武装に関しては、ボンパルダ（射石砲/臼砲）やデミ・カルバリン砲などが2〜4門搭載されていたと考えられていますが、正確な数は不明です。さらに、ブルワーク上には6門程度の旋回砲も設置されていました。

沈没船の捜索

2014年5月、海洋考古学調査を専門とするバリー・クリフォード氏が、ハイチ沖でサンタ・マリア号と思われる沈没船の残骸を発見したと発表しました。しかし、その後のユネスコの調査により、残骸は17世紀から18世紀の造船技術によるものであり、コロンブスの時代のものとは異なるという結論に至りました。また、残骸の位置が、コロンブス自身の日記などの記録と比較して、座礁地点から離れすぎていることも判明しました。

サンタ・マリア号の復元船

クリストファー・コロンブスによるアメリカ大陸到達500周年にあたる1992年には、コロンブスの船団を構成したサンタ・マリア号、ピンタ号、ニーニャ号の3隻が復元されました。この復元計画は1986年に開始され、復元された船体は、1992年にスペインで開催されたセビリア万博で展示されました。

また、1892年のアメリカ大陸到達400周年にも、サンタ・マリア号、ピンタ号、ニーニャ号が復元され、シカゴ万国博覧会で展示されています。

かつて神戸市には、1991年にスペインから寄贈されたレプリカ船がありましたが、震災と老朽化のため2013年に解体されました。現在は、メリケンパークに碇とマストの望楼がモニュメントとして残されています。

大阪水上バスは、1990年に「サンタマリア」という名の観光船を就航させました。これはサンタ・マリア号の姿を模したものですが、レプリカではなく、オーバースケールの汽船です。通常は大阪港内で遊覧船として使用されていますが、1995年の阪神・淡路大震災の際には、政府からの要請を受け、大阪・神戸間の緊急輸送に37日間従事し、重要な役割を果たしました。

サンタ・マリア号は、大航海時代の幕開けを象徴する船であり、その名は歴史に深く刻まれています。

関連項目

クリストファー・コロンブス
大航海時代
* ディエゴ・デ・アラーナ

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