サンデー志ん朝

サンデー志ん朝

『サンデー志ん朝』（サンデーしんちょう）は、日本のテレビ放送黎明期にあたる1960年代前半に、フジテレビ系列で毎週日曜日の午後1時00分から1時15分までの15分枠で放送されていたバラエティ番組です。1962年7月29日に放送が開始され、約3年間の放送を経て、1965年9月26日にその幕を下ろしました。

概要

この番組のタイトルは、当時の社会的な関心を集めていた二大週刊誌、『サンデー毎日』と『週刊新潮』の名前をユーモラスに組み合わせた造語です。番組内容は、そのタイトルが示唆するように、週刊誌の世界観や構成をテレビバラエティとして再構築した点が最大の特徴でした。

例えば、番組内には「今週のコラム」や「有名人株式市況」といった、実際に週刊誌の誌面に掲載されそうな見出しを模したコーナーが設けられていました。これは、単にニュースや情報を伝えるのではなく、それらを扱うメディアである「週刊誌」そのものをパロディの対象とすることで、独特のユーモアを生み出す試みでした。視聴者は、普段手にしている週刊誌の形式がテレビで展開されるのを見て、新鮮な驚きと笑いを感じたと考えられます。当時の週刊誌が社会現象ともいえる影響力を持っていた時代背景が、このような企画の成立基盤となっていました。

出演者

番組の中心的な出演者として、後の落語界を牽引する存在となる人気落語家の古今亭志ん朝と、喜劇俳優として広く知られていた谷幹一がレギュラーを務めました。古今亭志ん朝は、その卓越した話術と軽妙な人柄で、週刊誌の「コラムニスト」や「レポーター」といった役割を演じ、番組の知的なユーモアを担ったと推測されます。一方、谷幹一は、持ち前のコミカルな演技でパロディコーナーを盛り上げ、視覚的な笑いを担当したことでしょう。

古今亭志ん朝と谷幹一は、『サンデー志ん朝』だけでなく、同時期に日本テレビで放送されていた『なんだかんだ』や、TBSの『やじきた志ん幹線』といった他のテレビ番組でも共演しており、当時のテレビ界における名コンビとして知られていました。彼らの息の合った掛け合いは、番組に安定感と魅力を与えていました。

両名に加え、声優や俳優として多才な活躍を見せた熊倉一雄、女優の宮地晴子、俳優の本郷淳といった個性的な面々がレギュラー出演し、番組の週刊誌的な世界観を構築する上で重要な役割を果たしました。

番組の終焉とその後

『サンデー志ん朝』は、当時のテレビバラエティとしては比較的長い3年間の放送期間を終え、1965年9月26日に最終回を迎えました。しかし、この番組で培われたコンセプトと、古今亭志ん朝や谷幹一をはじめとする主要出演者たちは、番組終了から半年後の1966年4月にスタートした新番組へと引き継がれました。

その新番組こそが、『まんがシンチョー』です。番組タイトルに「まんが」とありますが、実際には実写のバラエティ番組であり、『サンデー志ん朝』の事実上の後継番組と言えます。放送時間も火曜日の夜7時30分という、よりプライムタイムに近い時間帯に移動しました。これは、『サンデー志ん朝』で試みられた週刊誌パロディという企画が、視聴者から一定の支持を得ていたこと、そして中心的な出演者たちの人気が高かったことを示唆しています。番組のコンセプトは引き継がれつつも、放送時間帯の変更などにより、新たな視聴者層を獲得しようとした可能性も考えられます。

『サンデー志ん朝』は、15分という短い枠ながら、週刊誌という当時の大衆文化を鋭く、そしてユーモラスに切り取った企画と、古今亭志ん朝と谷幹一という強力なタッグを中心とした出演陣によって、独自の地位を確立した番組でした。その試みは後継番組に引き継がれ、当時のテレビバラエティにおける一つのユニークな潮流を形成したと言えるでしょう。

参考文献

* 『放送学研究 28 別冊2 日本のテレビ編成』 日本放送出版協会
日本放送出版協会

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