サンバー

サンバー (Rusa unicolor)

サンバーは、哺乳綱偶蹄目シカ科サンバー属に分類される大型のシカです。別名スイロク（水鹿）とも呼ばれ、その名の通り水辺に生息することが多いのが特徴です。

分布

サンバーは、インド、バングラデシュ、スリランカ、中国南部、海南島、台湾、インドネシア、マレーシア、タイ、ミャンマーなど、アジアの広範囲に分布しています。過去には日本列島にも生息していたことが化石の研究から明らかになっています。鮮新世にはサンバーそのものが、前期更新世にはサンバー属のルサジカ（キュウシュウルサジカ）が生息していました。

形態

サンバーは、体長170〜270cm、尾長約30cm、肩高120〜150cm、体重150〜315kgと大型のシカです。オスには角があり、基部から1本、先端でさらに1本枝分かれしています。体毛は灰褐色から暗褐色で、尾は暗色、頸部の体毛は長めです。これにより、周囲の環境に溶け込みやすくなっています。

生態

別名のスイロク（水鹿）が示すように、サンバーは湿地帯の森林など、水辺を好んで生息します。泥浴びを好み、単独またはメスと幼獣からなる小規模な群れで生活します。夜行性で、昼間は木陰などで休息します。天敵としてはトラやドールなどが挙げられます。食性は草食性で、草や果実、木の芽、木の葉、水草などを食べます。多様な植物を食べることで、生息環境に適応しています。

亜種

現在、サンバーには7つの亜種が認められています。これらの亜種は、分布地域や形態にわずかな違いが見られます。亜種の存在は、サンバーが多様な環境に適応してきたことを示しています。

人間との関係

サンバーは、19世紀にアメリカ合衆国のフロリダ州、オーストラリア、ニュージーランドに人為的に導入されました。これは、狩猟や生態系の変化などの影響によるものです。日本では安佐動物公園でのみ飼育されています。また、サンバーの角はナイフの柄などに使用され、実用性と装飾性を兼ね備えています。さらに、富士重工業の軽自動車サンバーは、このサンバーにちなんで命名されました。これは、サンバーが人々の生活に深く関わってきたことを示しています。

まとめ

サンバーは、アジアの広範囲に分布する大型のシカで、その生態は水辺と密接に関わっています。多様な植物を食べる草食動物であり、天敵から身を守りながら生きています。人間との関係も深く、その存在は生態系や文化にも影響を与えています。

参考文献

安間繁樹『ボルネオ島 アニマル・ウォッチングガイド』文一総合出版、2002年。

関連項目

シカ
サンバー属

外部リンク

Wikipedia サンバー

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