サンビーム (自動車)

サンビーム（Sunbeam）について

サンビームは、1888年にイギリスのウルヴァハンプトンで設立されたJohn Marston Co. Ltdによって商標登録されたブランドです。このブランドは、最初は自転車の製造から始まり、その後モーターサイクルや自動車へと事業を拡大しました。サンビームは、イギリス製車両の中で初めてグランプリレースに勝利した車両の一つであり、多くの速度記録を樹立したことでも非常に有名です。

創業と初期の展開

創業者のジョン・マーストンは、鉄工業をバックグラウンドに持ち、1859年、23歳の時にブリキメーカーを買収し独立しました。彼は自転車に対する情熱を持ち続け、1877年に「Sunbeamland Cycle Factory」を設立し、サンビームブランドの自転車の生産を始めました。1899年には自動車の試作を開始し、1901年には市販第1号の自動車を完成させました。1905年には自動車部門が独立し、「サンビーム・モーターカー（Sunbeam Motorcar Company Ltd）」に改名されます。

1909年、設計者ルイス・コータレンがサンビームに移籍し、車の設計と製造は急速に進歩しました。1912年ごろには高品質の低数量生産を行うメーカーとして地位を確立し、モータースポーツに積極的に参加しました。彼の手がけた車両は、英国ブルックランズ・サーキットで数多くの勝利を収め、特に1910年の専用速度記録車「ノーチラス」や、翌年の「Toodles II」は高い速度記録を打ち立てました。

第一次世界大戦とその後

第一次世界大戦中、サンビームはオートバイやトラック、救急車、さらには647機の航空機を生産しました。戦後の1920年、フランスの自動車会社ダラックと合併し、サンビーム・タルボット・ダラック（STDモータース）という新たな組織が誕生します。

この新しい会社の下で、サンビームは高品質なリムジンやサルーン、ツーリングカーを生産し続けました。1925年にはマルコム・キャンベルが「ブルーバード」にて時速150.766マイルを達成するなど、大きな業績をいくつも残しました。また、1926年にはヘンリー・ジーグレーブの「レディバード」が速さを競ったり、1927年には1000馬力のモデルが速度記録を樹立しました。

経営危機とブランドの変遷

しかし、1929年から始まった世界大恐慌の影響で、STDモータースは経営難に陥り、1935年にはウィリアムズ・ルーツに売却されます。ルーツ・グループの関連会社となった後、サンビームはタルボットシリーズに改名され、より大量生産向けのモデルにシフトしていきました。その後1948年にはサンビーム・タルボット80と90が登場し、スタイリッシュなデザインで人気を博しました。

1953年には初代サンビーム・アルパインが登場し、その後も改良が施されたモデルが誕生しました。特に、1960年代にはモータースポーツに再進出し、名作サンビーム・アルパインがジェームズ・ボンドの映画にも登場しました。しかし、時代の流れとともにサンビームのブランドは衰退し、クライスラーUKに傘下に入ることになります。

サンビームの終焉

1970年代に入ると、クライスラーUKは多くの統合を進め、新ブランド名であるタルボットが注目されるようになりました。1976年にサンビームブランドが消え、1978年には「クライスラー・サンビーム」として新たな形で会社が展開されることになります。しかし、この時点での「サンビーム」は車名であったものの、ブランドとしてのサンビームは1976年に終焉を迎えたと考えられています。サンビームの歴史は、モータースポーツと自動車技術の発展の歴史でもあるのです。

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