サンフォード・ワイル

サンフォード・ワイルの略歴

サンフォード・ワイル（Sanford I. Weill）は、1933年3月16日にアメリカ・ブルックリンでポーランド系ユダヤ人の家庭に生まれました。彼は1955年にコーネル大学を卒業後、直ちに結婚し、ベアー・スターンズでブローカーとしてのキャリアをスタートさせました。1959年には、アイザック・バーナムのファンドに雇われ、これは後にドレクセル・バーナム・ランベールへと発展することになります。

投資銀行業界への進出

1960年、ワイルはレーマン・ブラザーズのアーサー・カーターとともに新たな企業を立ち上げ、1970年にはボストン流のブローカー企業、ヘイドン・ストーンを買収し力強い基盤を築いていきました。1979年には合併を経てシェアソン・レーブ・ローズが誕生し、メリルリンチに次ぐ投資銀行となりました。この時期には、グラス・スティーガル法に抵触する買収もあったものの、証券取引委員会から最終的に承認を得ました。

アメリカン・エキスプレスとの関係

1981年、シェアソン・レーブ・ローズはアメリカン・エキスプレスの傘下に入ることになり、ワイルはその社長に就任しました。ワイルの下でシェアソンは1984年にリーマン・ブラザーズ・クーン・レーブを買収し、さらなる成長を遂げます。1989年にはアメックスを退任し、プライメリカの会長となり、会社をドレクセルのリテールブローカー事業を買収することで一層強化しました。

プライメリカとトラベラーズの合併

その後、プライメリカは1989年にトラベラーズを買収し、このときワイルが社長兼会長に就任します。1997年、トラベラーズはソロモン・ブラザーズを買収し、ワイルもこの過程に参加しました。これにより、ソロモン・スミス・バーニーという新たな巨大な金融機関が誕生し、彼の影響力はますます増していきました。

シティグループの誕生

1998年、ワイルのトラベラーズはシティコープと合併し、シティグループが設立され、ワイルはその社長・会長に就任します。しかし、すぐに彼の右腕であったジェームズ・ダイモンを解雇し、ジョン・リードと共に共同CEOとして経営を行っていきます。2001年からはニューヨーク連邦準備銀行の取締役にも名を連ね、影響力を持ち続けました。

金融危機とその後

2004年には、シティグループが多額の和解金を支払うことで合意し、金融機関としての評判が問われる事態に直面します。その後、チャールズ・プリンスが会長となり、サブプライム・ローンに注力する方針を強めていきました。世界金融危機が訪れると、シティグループ内でも大きな影響が現在に至るまで続いています。

ワイルの金融業界における足跡は、単なる個人の成功を超え、時代を代表する企業の形成や合併に深く関与してきたことが特徴です。彼のキャリアは合併と買収の連続であり、その戦略は今なお多くの経営者にとっての教訓となっています。

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