サンベルト

サンベルトとは

サンベルト（Sun Belt）は、アメリカ合衆国南部および南西部の、北緯37度以南に位置する地域を指します。この地域は、温暖な気候に恵まれていることからこのように呼ばれています。

サンベルトに含まれる州

一般的に、以下の州がサンベルトに含まれます。

ノースカロライナ州
サウスカロライナ州
ジョージア州
フロリダ州
アラバマ州
ミシシッピ州
ルイジアナ州
テキサス州
ニューメキシコ州
ネバダ州
ユタ州
アリゾナ州
* カリフォルニア州

サンベルトの変遷

サンベルト地域は、かつては農業が盛んでしたが、近年では石油産業や航空機産業、電子産業、研究機関などの先端技術産業が目覚ましい発展を遂げています。

1970年代から1980年代にかけて、工業事業所や雇用が大幅に増加しました。特に、衣料、繊維、織物産業などの労働集約型産業が農村部に多く立地し、農村部の工業化を促進しました。また、リサーチ・トライアングル、フォートワース、シリコンバレー、ロサンゼルスなどの一部地域では、先端産業が急成長を遂げました。ハイテク電子機器産業は、大学や専門知識を持つ労働者が集まる地域に多く立地しました。

自動車産業などでは外国資本の進出も進み、自動車部品製造会社も増加しました。しかし、1994年に北米自由貿易協定（NAFTA）が発効すると、より安価な労働力を求めてメキシコなどへ製造拠点が移転し、サンベルトでは製造業の就業者数が20％以上も減少しました。この影響で、経済が停滞する地域も出ています。

経済と政治における重要性

サンベルトは、経済だけでなく政治的にも重要度を増しています。温暖で過ごしやすい気候のため、中南米や西欧、アフリカなどからの移民が多数訪れています。また、アメリカ国内の寒冷な地域からの移住者も多く、人口が急増しています。

特に、カリブ海諸国やアメリカ国内からの移住が多いフロリダ州、メキシコからの移住が多いアリゾナ州、税金が低いネバダ州、経済が好調で自然災害の被害も比較的少ないノースカロライナ州などでは、人口増加が顕著です。

サンベルトとスノーベルト（フロストベルト）

サンベルトに対し、五大湖周辺からアメリカ合衆国北東部にかけての地域はスノーベルト（Snow Belt）と呼ばれます。フロストベルト（Frost Belt）やラストベルト（Rust Belt）とも呼ばれるこの地域は、1970年代に鉄鋼業や自動車産業が衰退しました。この背景には、日本やヨーロッパと比較した際の競争力の低下があります。

日本では、サンベルトの産業発展や人口増加と比較して、スノーベルトは産業の斜陽、都市の空洞化、失業や犯罪の増加といったマイナスのイメージが持たれています。

しかし、近年では市街地再開発が進み、治安改善や公害規制による住環境の整備、新たな産業の育成に成功している都市も多くあります。例えば、ボストン、シカゴ、ニューヨークはIT産業が盛んで活況を呈しており、かつて重工業都市として知られたクリーブランドやシンシナティなども、都市の再開発や住環境の整備に成功し、文化水準が高く住みやすい都市として評判を得ています。また、インディアナポリスやコロンバスなどは自動車工業の発展により成長を続けており、サンベルトに比べ貧富の格差が小さく、各都市の文化、教育水準が高いという特徴があります。デトロイトなど一部の都市を除いて治安も大幅に改善されました。

スノーベルトの成功例は、日本各地の老朽化した都市の再開発を進める上で、大いに参考になるでしょう。

まとめ

サンベルトは、アメリカの経済と人口動態において重要な役割を果たす地域です。温暖な気候がもたらす恩恵は大きい一方で、製造業の衰退や移民問題など課題も抱えています。スノーベルトの変遷と合わせて、アメリカの地域経済を理解する上で不可欠な概念と言えるでしょう。

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