サンリツ服部美術館

サンリツ服部美術館：諏訪湖畔に佇む、国宝と西洋絵画のコレクション

概要

長野県諏訪市に位置するサンリツ服部美術館は、国宝の茶碗をはじめとする貴重な美術コレクションを誇る美術館です。1995年開館、セイコー創業者の血を引く服部家の三代目、服部正次氏とその長男である服部一郎氏、そしてサンリツ工業株式会社の三者による収集品が展示されています。

服部正次氏は、セイコーを世界的なブランドへと押し上げた人物としても知られています。彼は茶の湯にも造詣が深く、「山楓」という号で知られていました。その義父にあたる塩原又策氏（製薬会社三共創業者）からの影響も大きく、塩原氏のコレクションも美術館に収蔵されています。

見どころ：国宝「楽焼白片身変茶碗 銘不二山」

美術館の最大の呼び物は、国宝に指定されている「楽焼白片身変茶碗 銘不二山」です。本阿弥光悦作とされるこの茶碗は、光悦自身による箱書も残されており、極めて貴重な存在です。その名品ゆえに、光悦茶碗の中でも最高傑作と称賛されています。「不二山」の銘は、富士山の白雪を連想させ、また二度と作れない希少な逸品であることを示唆していると考えられています。さらに、光悦の娘の振袖の切れ端で作った袋に入れられていたという逸話も残っており、「振袖茶碗」という別名も持っています。

多様なコレクション

国宝の茶碗以外にも、重要文化財を含む数多くの美術品が収蔵展示されています。

日本絵画: 孔雀明王像、弘法大師絵伝、三十六歌仙切など、時代を代表する名画が数多く含まれています。
中国絵画: 桃花小禽図、葡萄図、寒山拾得図など、中国絵画の粋を集めた作品群も魅力です。
陶磁: 古九谷の焼き物、鍋島焼など、日本の伝統陶磁器の精髄を垣間見ることができます。
書跡: 紺紙金字一字宝塔観普賢経、兀庵普寧、大燈国師などの名筆も収蔵されています。

これらのコレクションは、日本の美術史を紐解く上で重要な役割を担い、来館者を魅了し続けています。

建築と立地

美術館の建物は、諏訪湖を望む絶好のロケーションにあり、建築家・内井昭蔵氏の設計によるものです。湖の景色と調和した洗練された建物も、美術館の魅力の一つとなっています。

アクセス

JR東日本上諏訪駅西口から徒歩15分と、アクセスも良好です。諏訪観光の際に、ぜひ立ち寄りたいスポットと言えるでしょう。

まとめ

サンリツ服部美術館は、国宝級の茶碗から西洋絵画まで、幅広い分野の美術品を鑑賞できる貴重な施設です。そのコレクションの質の高さ、諏訪湖の美しい風景、そしてアクセスの良さなど、多くの魅力が詰まった美術館と言えるでしょう。

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