寒山

寒山

寒山（生没年不詳）は、中国唐代に天台山国清寺にいたとされる伝説的な風狂僧です。『寒山子詩』の作者として知られ、後世には拾得と共に有髪の姿で禅画の画題とされました。

人物像

寒山の伝歴は不明な点が多く、時代も初唐、貞観年間（627年-649年）、大暦年間（766年-779年）など諸説あります。しかし、『寒山子詩』の詩風は中唐以降のものとされています。

その名は、始豊県西方70里の寒巌である翠屏山を居所としていたことに由来します。翠屏山は夏でも残雪があるほど寒く、そこから自ら寒山子と号したと伝えられます。

風貌は痩せこけ、樺の冠をかぶり、ボロ衣をまとい、木靴を履いた奇抜なものでした。国清寺の厨房を任されていた拾得から残飯をもらって食事をし、寺僧に咎められると大笑いして走り去ったといいます。

虎を連れた豊干禅師の弟子とされ、豊干を釈迦、寒山を文殊、拾得を普賢の化身に見立てる説もあります。

台州刺史の閭丘胤が国清寺を訪れた際、拾得と共に大笑いしながら寒巌に姿を隠し、二度と姿を現さなかったとされています（森鷗外が「寒山拾得」として作品化）。

その後、山中で300篇以上の詩が発見され、それが『寒山子詩』であるとされました。寒山の詩は竹や木、壁に書かれており、題名はありません。内容は雑多で、一人の作者によるものとは考えにくいものの、大部分は仏教的な勧俗詩であり、王梵志の影響を受けています。豊干と拾得の詩も合わせて収められており、『寒山詩集』『三隠集』とも呼ばれます。

『宋高僧伝』巻19「感通篇」には「唐天台山封干（豊干）師伝」があり、寒山子・拾得として附伝されています。『景徳伝灯録』巻27にも「天台豊干禅師　天台寒山子　天台拾得」として記録されています。

また、五代の道士である杜光庭が編纂した『仙伝拾遺』にも寒山が収録されており、道士が『寒山子詩』を集めたと記されています。

寒山ギャラリー

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脚注

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参考文献

入矢義高『中国詩人選集5　寒山』（岩波書店, 初版1958年） ISBN 4001005042
『新修 中国詩人選集1　陶淵明・寒山』 岩波書店、1984年。前者は一海知義注
西谷啓治『寒山詩』 筑摩書房, 1986年
『寒山詩・詩偈　西谷啓治著作集 第12巻』（創文社, 1987年） ISBN 442319712X。※後者は日本の禅僧作品
『禅家語録2　寒山詩 ほか』（筑摩書房〈世界古典文学全集 第36巻B〉、初版1974年、復刊1984年、2004年）
入谷仙介・松村昂『禅の語録13 寒山詩』（筑摩書房，1970年、新版2016年） ISBN 4480323139

関連項目

寒山寺
王梵志
五家（臨済、潙仰、雲門宗、曹洞、法眼）
四睡図

外部リンク

『寒山』 - コトバンク
『寒山拾得』-コトバンク

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