サン・パウロ (空母)

ブラジル海軍航空母艦「サン・パウロ」

「サン・パウロ」（NAe São Paulo, A12）は、ブラジル海軍が運用していた航空母艦です。フランス海軍のクレマンソー級航空母艦「フォッシュ」を1990年代に購入し、改名したもので、ブラジル海軍では旗艦として活躍しました。

艦名について

艦名は、ブラジルのサン・パウロ州、またはその州都であるサン・パウロ市に由来します。ブラジル海軍の艦艇として「サン・パウロ」の名を冠するのは4代目にあたります。

艦名表記の「NAe」は、所属海軍を示すものではなく、ポルトガル語で空母を意味する「Navio-Aeródromo」の頭文字です。

モットーは「Non ducor, duco（我は導かれず。我こそが導く）」であり、サン・パウロ市や過去の戦艦「サン・パウロ」と同じものを採用しています。

性能と特徴

「サン・パウロ」は、前任の空母「ミナス・ジェライス」に比べて、速度が50%向上し、搭載機数も倍増しました。これにより、ブラジル海軍の機動部隊の中核として重要な役割を果たしました。

艦載機としては、各種ヘリコプターの他、「ミナス・ジェライス」時代から運用していたA-4スカイホークを引き続き搭載していました。ブラジルではA-4スカイホークはAF-1ファルカン（ハヤブサまたはタカの意）と呼ばれ、ロケット弾や爆弾、空対空ミサイルなどの装備が可能でした。

艦歴

元はフランス海軍の空母「フォッシュ」であり、老朽化した「ミナス・ジェライス」の後継艦として購入されました。

2000年9月にブラジルに売却され、同年11月にブラジル海軍に編入されました。数ヶ月の修理と武装の撤去後、大西洋を横断し、2001年2月にリオデジャネイロに到着しました。

就役後、「サン・パウロ」は様々な任務を遂行し、海外合同作戦にも参加しました。アルゼンチン海軍の艦載機運用訓練も艦上で行われました。

2005年から2010年にかけて近代化改修を受けましたが、エンジンの問題などが再燃し、2012年以降は出港することが少なくなりました。

2017年2月、ブラジル海軍は近代化計画を打ち切り、運用終了を発表しました。理由は、ブラジル海軍にとっての優先度が低いことなどが挙げられています。2018年11月22日、正式にブラジル海軍を退役しました。

退役後と最期

退役後、「サン・パウロ」はスクラップとして売却されることになりました。しかし、アスベストなどの有害物質による環境汚染の問題が浮上し、解体作業は難航しました。

ブラジル政府からも入港を拒否され、長期間にわたり漂流した後、船体の損傷が深刻化し、2023年2月3日にブラジル海軍によって海没処分されました。この処分は、環境団体から強い批判を受けています。

「サン・パウロ」は、ブラジル海軍の歴史において重要な役割を果たした航空母艦でしたが、老朽化と環境問題により、最終的には悲劇的な結末を迎えることになりました。

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