サン・マルコ広場

サン・マルコ広場：ヴェネツィアの心臓

サン・マルコ広場（Piazza San Marco）は、イタリア・ヴェネツィアの中心に位置する、世界的に有名な広場です。回廊で囲まれた壮麗な空間は、ドゥカーレ宮殿やサン・マルコ寺院といった歴史的建造物に彩られ、訪れる人々を魅了します。ヴェネツィアの方言では広場を「カンポ（campo）」と呼びますが、サン・マルコ広場は別格の存在として「ピアッツァ（piazza）」と呼ばれています。その美しさから「世界で最も美しい広場」と称されることもあり、ヴェネツィアを代表する観光名所であるとともに、海からの玄関口としての役割も果たしています。

広場の由来と構造

広場の名前は、ヴェネツィアの守護聖人である福音記者聖マルコに由来します。サン・マルコ寺院の正面は柱廊に囲まれた台形をしており、実際の奥行きよりも長く見えるように設計されています。この台形広場（piazza）に隣接して、海に面したサン・マルコ小広場（Piazetta San Marco）があり、全体としてL字型の空間を構成しています。小広場には、カナル・グランデに面して2本の円柱が立っており、それぞれ頂上には聖マルコを象徴する「有翼の獅子」像と、「聖テオドーロ」像が飾られています。中世には、この柱の間が死刑執行場として使われていたため、ヴェネツィアの人々は柱の間を通らないという習慣があったそうです。

広場を彩る主要な建築物

サン・マルコ広場周辺には、歴史的価値の高い様々な建築物が存在します。

ドゥカーレ宮殿（Plazzo Ducale）： かつての総督邸兼政庁であり、ため息橋を通じて牢獄と繋がっています。
サン・マルコ寺院（Basilica di San Marco）： 11世紀に建てられたビザンティン建築の傑作で、もともとは総督邸の礼拝堂でした。
鐘楼（Campanile di San Marco）： 広場にそびえ立つ高さ約100mの鐘楼です。
旧行政館（Procuratie Vecchie）： サン・マルコ寺院から見て右手に位置し、回廊が続く3階建ての建物です。
ムーア人の時計塔（Torre del'Orologio）： 旧行政館の側にあり、リアルト橋方面への出口の目印となっています。
新行政館（Procuratie Nuove）： サン・マルコ寺院から見て左手にある建物です。
カッフェ・フローリアン（Caffè Florian）： 18世紀創業の老舗カフェで、新行政館の1階にあります。
国立マルチャーナ図書館（Biblioteca nazionale Marciana）： 建築家サンソヴィーノによるルネサンス建築の代表例です。
造幣局（Zecca）： マルチャーナ図書館と同じく、サンソヴィーノが設計したルネサンス建築です。
ナポレオン翼（Ala Napoleonica）： サン・マルコ寺院に対面する建物で、ナポレオンが舞踏会などの会場として建てさせたことからこの名が付けられました。
コッレール美術館（Museo Civico Correr）： ナポレオン翼内に入り口がある美術館です。
考古学博物館（Museo Archeologico）： 歴史的なコレクションを収蔵しています。
リソルジメント博物館： イタリア統一運動（リソルジメント）に関する展示を行っています。
レオーニ小広場（Piazetta dei Leoni）： サン・マルコ寺院の左手（北側）にある小さな広場です。

その他の情報

サン・マルコ広場は、満潮時に浸水する現象「アックア・アルタ」が発生することでも知られています。この現象は、ヴェネツィアの特異な地理的条件によるもので、訪れる際には注意が必要です。

サン・マルコ広場は、ヴェネツィアの歴史、文化、美しさが凝縮された場所であり、訪れる人々に忘れられない印象を与えます。

もう一度検索