サン・ミケーレ島

ヴェネツィアの静寂の島：サン・ミケーレ島

イタリア北東部、ヴェネツィアの潟に浮かぶサン・ミケーレ島は、独特の雰囲気を持つ墓地として知られています。1837年、ヴェネツィア市街の衛生上の問題を解決するため、サン・ミケーレ島とサン・クリストーフォロ・デッラ・パーチェ島を繋ぐ小さな運河を埋め立てる工事が行われ、現在のサン・ミケーレ島が誕生しました。

もともと小さな島だったため、運河の埋め立ては比較的容易だったとされています。墓地は、主にサン・ミケーレ・イニーゾラ教会の周辺に造成され、比較的コンパクトな設計となっています。

サン・ミケーレ・イニーゾラ教会は、1469年から建築家マウロ・コドゥッチの設計によって建設が始まりました。当初の外壁はイストリア産の大理石で造られており、現在もその美しい姿を見ることができます。ヴァポレット（ヴェネツィアの公共水上バス）の停留所は、教会の正面に位置し、アクセスも便利です。

一方、サン・クリストーフォロ教会は墓地の中にひっそりと佇んでいます。規模は小さいながらも、その美しい佇まいは多くの人の心を惹きつけます。

サン・ミケーレ島の墓地は、宗教によって区画が分けられています。ユダヤ教、カトリック、正教会、プロテスタントなど、故人の信仰を尊重した設計となっています。

この静謐な島には、多くの著名人が眠っています。詩人のエズラ・パウンド、ノーベル文学賞受賞者のヨシフ・ブロツキー、バレエ界の巨匠セルゲイ・ディアギレフ、作曲家のイーゴリ・ストラヴィンスキー、そしてその他多くの芸術家や文化人が、この島に永遠の眠りに就いています。彼らの存在は、サン・ミケーレ島に独特の重みと魅力を与えています。

サン・ミケーレ島を訪れると、ヴェネツィアの歴史と文化、そしてそこに息づく人々の生と死を深く感じることができます。静寂に包まれた島で、歴史と芸術に思いを馳せ、静かに瞑想する時間は、忘れがたい体験となるでしょう。島全体から漂う独特の雰囲気は、他の墓地とは一線を画し、多くの観光客を惹きつけてやまない理由となっています。ヴェネツィアを訪れた際には、ぜひサン・ミケーレ島を訪れて、その静寂と美しさに触れてみてください。

サン・ミケーレ島は、単なる墓地ではなく、ヴェネツィアの歴史と文化を凝縮した、静かで美しい島なのです。その歴史的背景、独特の雰囲気、そして著名人たちの眠る地として、今後も多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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