サールヴァ・ナラシンハ・デーヴァ・ラーヤ

サールヴァ・ナラシンハ・デーヴァ・ラーヤの生涯

サールヴァ・ナラシンハ・デーヴァ・ラーヤ（Saluva Narasimha Deva Raya、1452年生まれ - 1491年没）は、南インドのヴィジャヤナガル王国において、サールヴァ朝の王として名を馳せた人物です。彼は1486年から1491年まで在位し、サールヴァ朝の創始者として知られています。

初期のキャリア

サールヴァ・ナラシンハは、1452年にヴィジャヤナガル王デーヴァ・ラーヤ3世からチャンドラギリの長官に任命され、広域の支配者である「マハーマンダレーシュヴァラ」の称号を授与されました。この時期、彼は力強い軍事的資質を示し、王国の防衛を支えました。

当時、王国はバフマニー朝やガジャパティ朝からの侵攻を受けており、特に1464年にはガジャパティ朝の軍がカーヴェーリ川を越え、ティルチラーパッリに至るところまで侵入しました。これに対抗するため、サールヴァ・ナラシンハはヴィルーパークシャ2世の治世にあたり、忠実な家臣であるトゥルヴァ・イーシュヴァラ・ナーヤカとその息子トゥルヴァ・ナラサー・ナーヤカと共に反撃の準備を整えました。彼らの協力により、サールヴァ・ナラシンハはガジャパティ朝からウダヤギリを奪回し、王国の防衛に成功しました。

細分化された王国の統治

1485年、ヴィルーパークシャ2世が自らの息子プラウダ・ラーヤによって殺害され、王国は混乱の渦に巻き込まれます。サールヴァ・ナラシンハはこの混乱を見て、名声を利用し王位を簒奪することを決意しました。彼はトゥルヴァ・ナラサー・ナーヤカをヴィジャヤナガルの中心へ送り、プラウダ・ラーヤを追い出すことに成功しました。

1486年、サールヴァ・ナラシンハは王として推挙され、サンガマ朝からサールヴァ朝を創設しました。新しい朝のもと、彼は内乱と反乱の頻発に直面し、王国の安定に努めました。しかしながら、ガジャパティ朝との戦いは続き、サールヴァ・ナラシンハの治世は常に不安定なものでした。

戦争と敗北

1489年、ガジャパティ朝はウダヤギリを再奪取するための攻撃を行い、サールヴァ・ナラシンハ自身が捕虜となる事態が発生しました。彼は戦局を逆転させ、最終的には勝利を収めるものの、ウダヤギリは依然としてガジャパティ朝の手中に残りました。これにより、彼の治世の重圧はさらに増し、王国の未来に暗い影を落としたのです。

最期の時

1491年、サールヴァ・ナラシンハはこの世を去りました。彼の死後、幼い息子ティンマ・ブーパーラが王位を継承し、トゥルヴァ・ナラサー・ナーヤカが摂政に就任しました。サールヴァ・ナラシンハの在位は短いものでしたが、彼の名前は今でもヴィジャヤナガル王国の歴史に刻まれています。

参考文献

• - 辛島昇『新版 世界各国史7 南アジア史』山川出版社、2004年。
• - Dr. Suryanath U. Kamat, Concise History of Karnataka, 2001, MCC, Bangalore (Reprinted 2002)
• - Prof K.A. Nilakanta Sastry, History of South India, From Prehistoric times to fall of Vijayanagar, 1955, OUP, New Delhi (Reprinted 2002)
• - Narasimhacharya, R (1988) [1988]. History of Kannada Literature. New Delhi, Madras: Asian Educational Services.

もう一度検索