辛島昇

辛島昇：日本の歴史学者

辛島昇（からしま のぼる、1933年4月24日 - 2015年11月26日）は、日本の歴史学において特に南アジアの研究において著名な学者です。東京大学及び大正大学の名誉教授として活躍した彼は、文学博士（東京大学）の学位を持ち、その研究は南インド史やタミル語刻文への深い理解を示しました。

経歴

辛島は東京で生まれ育ち、神奈川県立湘南高等学校を卒業後、東京大学文学部に進学。東洋史学科で学びながら、1958年に卒業。その後、大学院に進学し、1961年には修士課程を修了しました。1964年には博士課程を単位取得退学。

その後、東京大学文学部に助手として採用され、1967年には東京外国語大学のアジア・アフリカ言語文化研究所で講師となりました。1974年には東京大学文学部で助教授に昇格し、1981年からは教授として多くの学生を指導しました。1993年には、学位論文「ヴィジャヤナガル王国支配下の南インド社会 - 新しい体制の成立へ」で文学博士号を取得。

彼は1994年に東京大学を定年退官し、名誉教授の称号を得ます。その後、大正大学文学部で教授として教鞭を執り、1995年からは放送大学の客員教授も兼任しました。2008年に大正大学を退職し、名誉教授となりました。

受賞・栄典

辛島には数々の賞が授与されています。1979年にはドラヴィダ言語学会最優秀図書賞を受賞し、1995年には第6回福岡アジア文化賞学術研究賞、さらに2003年には日本学士院賞を受賞しました。

2007年には文化功労者に認定され、その後、2013年にはインドの国家勲章であるパドマ・シュリー勲章を受け取りました。

研究の内容と業績

辛島の研究は、タミル語刻文の分野で国際的に評価されており、彼は「南アジア地域研究」の第一人者として知られています。彼の業績は、南インド史や南アジア史の新たな視点を提供し、その領域の発展に寄与しました。彼の研究によって南インド史は大きく書き換えられたと評されることもあります。

南アジアの中世史から現代インド社会まで幅広く研究し、日本で誤解されがちな「インドのカレー事情」や食文化についても触れた多様な著作を残しました。

家族・親族

辛島は漢学者の家系に生まれ、父の辛島驍や母方の祖父である塩谷温も漢文学者として知られています。彼はその学問的背景を受け継ぎ、独自の研究スタイルを築き上げました。

著書

辛島は多くの著作を執筆しています。代表的な単著には『地域からの世界史（5）南アジア』や『南アジアの歴史と文化』、また共著や編著としても多くの業績があります。また、翻訳書も手掛け、幅広い分野に貢献しています。

辛島昇は、2015年に亡くなるまでその業績を通じて多くの人々に影響を与え続けました。彼の研究は今もなお、日本における南アジア研究の分野で尊敬されています。

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