ザイサンアミノドン

ザイサンアミノドンの特徴と分布

概要

ザイサンアミノドン（学名：Zaisanamynodon）は、カザフスタンのザイサン盆地に由来する名称を持つ、絶滅した大型哺乳類で、サイ上科アミノドン科に属します。その体長は約5メートルと推定され、現在のカバに似た生態を持ち、河川などの水辺の環境に生息していたと考えられています。化石はカザフスタンをはじめ、中国の内モンゴル自治区や日本の兵庫県でも見つかっており、これらの地域の動物相に共通性が示されています。

特徴

ザイサンアミノドンはその頭蓋骨の構造が独特で、メタミノドン族に特徴的な形態を持っています。頬骨弓は非常に発達しており、頭蓋骨は前方で収縮している信号状態です。また、前頭骨と上顎骨が接触し、眼窩が高い位置にあることが確認されています。興味深い点は、現在のサイとは異なり、角が存在しないことです。しかし、深い前眼窩窩が吻部を狭くしているため、脳頭蓋に対して吻部が細い形状をしています。この形態は他のメタミノドン族と異なる特徴です。

種類

ザイサンアミノドン属は、これまでZ. borisoviの一種が知られており、化石は不完全な頭蓋骨や下顎、頸椎が含まれています。また、2023年にはカザフスタンからZSN-KKS-28-IPBという新たな標本も報告されました。さらに、Lucasによる2006年の研究で別の種、Z. protheroiが認識され、これはロシア沿海地方やアメリカオレゴン州から見つかった化石に基づいています。Z. borisoviとZ. protheroiは、主に頭蓋骨の吻部の形状や歯の構造によって区別されていますが、解釈は研究者によって異なるため、この分類に関しては依然として議論が続いています。

時空間的分布

ザイサンアミノドンの化石は、中国内モンゴルのウラン・ゴチュ層から発見され、ブロントテリウム科よりも古い地層に位置しています。Lucasらによってこの化石はエルギリアン期に属するとされ、カザフスタンの標本についても同様の時代に属すると考えられています。日本では、兵庫県神戸市の神戸層群からザイサンアミノドンの化石が発見され、約3700万年から3800万年前の地層に位置しています。この発掘は1999年に行われ、地層から出土した化石は当時の環境を探る手がかりとなっています。さらに、佐賀県伊万里市の唐津炭田相知層からも同様の大型アミノドン類の化石が発見され、これも始新世後期に該当します。このことから、当時はユーラシア大陸の中央アジアと同様な動物相が日本にも存在した可能性が示唆されています。

研究の進展

近年の研究では、日本で発見された化石がProvadurcodon属に分類される可能性も言及されています。この解釈が正しければ、ザイサンアミノドンと別の属に属する動物がロシアや日本周辺に分布していたことになります。

以上のように、ザイサンアミノドンはその体長や独特の頭蓋骨形態、そして広がりのある分布が特徴的な、興味深い絶滅哺乳類です。研究が進む中で、今後さらなる新事実の発見が期待されます。

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