ザクのバリエーション

ザク バリエーション：多種多様な進化の系譜

「ガンダムシリーズ」に登場するモビルスーツ、ザク。その派生機は多岐にわたり、様々な戦局や目的に合わせて開発されてきました。本稿では、ザクIやザクIIといった基本型、高機動型、陸戦型、水陸両用型、作業用などを除いた、特に特徴的なザクのバリエーションに焦点を当て、その詳細を解説します。

強行偵察型ザク

ザクIIをベースとした偵察仕様機。情報収集能力向上のため、頭部モノアイの改良、短距離通信用アンテナの増設、S型改良型ランドセルの採用などが行われました。胸部には緊急離脱用ロケット、機体各部にはカメラやセンサー、小型スラスターが増設されています。武装は基本的にカメラ・ガンのみですが、必要に応じて武装化も可能。暗視塗装が施されることもありましたが、エースパイロット機には目立つ塗装も施されました。

一年戦争序盤のジオン軍勝利に貢献し、終戦時には連邦軍に接収。グリプス戦役でもティターンズで使用されました。

マイナーバージョン

ザクE・バズノーズ: 強行偵察型に中距離航行用ブースターを装着した機体。連邦軍でハイザックのパーツを用いて改修・運用されました。
ザクII［狙撃型］: ヘレナ・ヘーゲル曹長専用機として、強攻偵察型を狙撃機として改修。高精度複合式モノアイを狙撃に転用し、狙撃用ライフルを装備。

ザクフリッパー

ザク強行偵察型の改良型。頭部センサーやバックパックが一新され、機動力と索敵能力が向上しました。頭部が三つ目のスコープカメラに変更され、光学系センサーに加え、レーザーや超音波、ミノフスキー物理学を応用したセンサーも搭載。「フリッパー」の愛称は、背中の水かき状複合探知システムに由来します。

一年戦争末期にレビル艦隊への偵察任務などに投入。戦後は連邦軍に接収され、ティターンズで使用されました。漫画『機動戦士ガンダム アグレッサー』では、狙撃用MSとして運用されています。

ホークアイ

ザクフリッパーの再改良型。胴体と脚部がサイコミュ高機動試験用ザクと同型となり、コクピットは複座に。センサー類も変更され、腕部はデジタル画像処理アームに換装、肩部にはオプチカルスキャナーが搭載されました。

一年戦争末期やグリプス戦役時にジオン残党が運用しました。

サイコミュ試験用ザク

ジオングのテストベース機として開発された機体。ザクII F型をベースに、ジオングの基本フォルムを縮小してスラスター配置も極力合わせられました。両前腕部に有線誘導式5連装メガ粒子砲を搭載。モノアイは後方周回式に変更されました。

実戦参加は不明ですが、いくつかの戦闘記録が確認されています。漫画『機動戦士ガンダム エコール・デュ・シエル』では、ヤハギ・フランジバックが搭乗し、ア・バオア・クー防衛戦に参加しています。

サイコミュシステム初期試験型ザク

ビショップ計画の前段階として開発された機体。全身にスラスターを増設し、細かい姿勢制御が可能。腕部は通常型のマニピュレーターで、武装は背部に搭載した巨大な有線式ビット2基（実体弾を発射）のみです。

サイコミュ高機動試験用ザク

サイコミュ試験用ザクの高速機動でのデータ収集の限界を克服するため、2号機の下半身に大推力ロケット・エンジンを2基搭載した機体。MA並みの機動性を誇ります。

アトラクション『ガンダムクライシス』や漫画『機動戦士ガンダム ゼロの旧ザク』などに登場。『機動戦士ガンダム サンダーボルト』では、ビリー・ヒッカム少尉が搭乗し、オールレンジ攻撃を行いました。

その他のバリエーション

ザクWITHインターセプターユニット: サブフライトシステムに近い発想の「インターセプターユニット」とセットで運用される機体。
ザク大気圏突入試験型: 連邦軍の大気圏突入MS開発を受けて試作された機体。ウェイブシールドの上に搭乗して大気圏突入を行います。
スティルスザク: MS不可視計画によって開発された機体。可変迷彩コーティングにより光学的に姿を消すことが可能。
ザク・ユニットコマンダー: 月面地下資源探査を目的とする作業用MS。無人探査ユニット群を管制します。
ザク-ゾンビ: 遠隔操作式の無人MS。有人指揮官機からの指示で行動します。
パーフェクト・ザク: 単機で戦局を覆す超高性能MS開発案を基に開発された大型機。ビーム兵器や有線サイコミュなどを搭載。
ミサイル装備型ザク: 両肩、両前腕、両脚、腰部にミサイル・ポッドを装備した火力支援用機体。
サナリィ・ザク: サナリィによってスラスターの増設など推力と機動性の強化がおこなわれた機体。

その後のザクの流れを汲む機体

レギュシオ・ザック: 連邦に転向したジオン系技術者が設計した機体。連邦軍の主力機として運用。
スザク: ネオ・ジオン総帥シャア・アズナブルの乗機。マラサイに似た頭部など、複数のジオン系MSの特徴を持っています。
RFザク: ジオン残党系テロ組織が運用する機体。外観はザクIIと同じですが、内部は高性能化されています。
ザク50: アナハイム・エレクトロニクスがデモンストレーション用に開発したザクに似た大型MA。
* 新生ザク: 光速域での活動を目的とした機体。流線形に近い独特な形状をしています。

ボルジャーノン

『∀ガンダム』に登場する機体。外見はザクIIとほぼ同じですが、コクピット形状などが異なり、ホバー走行が可能です。ルジャーナ・ミリシャで使用され、「ザク」と呼ばれています。

これらのバリエーションは、ザクの基本性能を維持しつつ、特定の任務や戦況に対応するために様々な改修が施された結果です。その多様性は、ザクがジオン公国軍にとって、いかに重要な機体であったかを物語っています。

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