ザグレブ市電

ザグレブ市電の概要

ザグレブ市電（Tramvajski promet u Zagrebu）は、クロアチア首都ザグレブで運行される路面電車です。2020年時点で、ザグレブ市の公共交通機関の一環であり、ザグレブ電気軌道（ZET）によって管理されています。市電は、バスやケーブルカーとともにザグレブ内の重要な交通手段となっています。

歴史

開通前の背景

19世紀末、ザグレブは急速に都市化が進行し、特に1890年代には人口が50%増加するなどの成長を遂げていました。このため、交通インフラの整備が急務となりました。1880年代には交通機関の計画が進められ、1890年にオーストリア＝ハンガリー帝国から馬車鉄道の建設許可が下り、1891年には開業が予定されました。しかし、車両の遅れにより開業は9月15日に延期されました。馬車鉄道は好評を博し、多くの乗客を運びましたが、次第にその需要に応えきれなくなりました。

路面電車の導入

1909年、ザグレブ市は馬車鉄道を手放し、ZETを設立。その結果、1910年に路面電車が運行を開始しました。当初用意された車両は、ブダペストの製造業者から提供されたもので、開業後すぐに全線が馬車鉄道から路面電車に置き換えられました。

路面電車の拡張

第一次世界大戦を経て、ザグレブ市電は1920年代から大きな発展を遂げます。1924年以降、路線の延伸が始まり、1936年には車両基地も設立され、今も使用されています。1922年には国産車両の製造も始まり、運航は右側通行に改められた結果、対応した新しい車両も登場しました。第二次世界大戦後、ザグレブはユーゴスラビアの一部となったものの、路面電車はさらなる拡張を続け、1963年までに多くの新路線が開設されました。

クロアチア独立以降の変革

1991年にクロアチアが独立してからは、経済的困難を乗り越えるために、旧型車両の更新や車掌業務の廃止等の対策が実施されました。特に、新たな路線の建設が1998年から開始され、2000年には新しい系統が営業運転を開始しました。更に2001年以降には超低床電車が導入され、2005年からは国産の新型車両も利用されています。

2020年の運行状態

2020年時点で、ザグレブ市電は全長53.5kmを誇り、277両の車両が運行されています。ZETの他の公共交通機関とともに、この市電はザグレブ市内で欠かせない交通手段の一つとなっています。

運行系統と運賃

現在、ザグレブ市電は多くの系統を運行しており、深夜の系統も設けられています。運賃は路線バスと共通で、時間制の料金が設定されています。市電に乗る際には、ICカードや紙の乗車券を利用し、乗車時に刻印する方式が採用されています。

車両の概要

ザグレブ市電の車両は、過去から現在まで様々な形式のものが存在します。特に現行の車両は超低床式が多く、運転のしやすさや乗客の利便性を重視しています。これにより、障害者や高齢者にも配慮した設計がされています。

未来の展望

新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年には緊急の運行停止が余儀なくされましたが、その後の復旧作業も進められています。未来に向けて、ザグレブ市電は更なる発展と安全な交通手段の提供が期待されています。

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