ザナドゥ (ゲーム)

ザナドゥ (XANADU -Dragon Slayer II-)

『ザナドゥ』は、1985年に日本ファルコムから発売されたアクションロールプレイングゲームであり、ドラゴンスレイヤーシリーズの第2作です。当時、数多くの8ビットパソコン向けに展開され、国内PCゲーム市場において約40万本という驚異的なセールスを記録しました。この記録は、2015年時点においても国内PCゲームで未だに破られていません。

翌年の1986年には、本作のシステムを共有する直接の続編として『ザナドゥ・シナリオII』がリリースされました。ここでは、シナリオII、そしてその後発売された様々な移植版、リメイク版、派生作品についても詳しく解説します。

ゲームシステム (ザナドゥ)

ゲームフロー

ザナドゥは、自由落下が表現されたサイドビューのマップを舞台とし、ブロック単位での移動を基本としています。敵キャラクターとの遭遇はシンボルエンカウント方式で、戦闘が始まると画面はトップビューに切り替わり、ドット単位でキャラクターを操作するアクションゲームへと変化します。プレイヤーは戦闘を繰り返して経験値を獲得し、主人公を強化します（本作では「レベル」は地上マップのステージを指します）。また、ゲーム内で手に入る様々な武器、防具、アイテムを駆使しながら、最終ボスのキングドラゴン「ガルシス」の討伐を目指します。

キャラクターデータ

プレイヤーキャラクターのステータスは、画面右側に表示されます。通常画面では、以下の情報が表示されます。

Name: 名前。ゲーム開始時に自由に設定できます。
Rank: 戦士ランクと魔法使いランクがあり、高い方のランクがキャラクターのランクとして表示されます。
Hit Point: 生命力。0になるとゲームオーバーです。
Food: 食糧。時間経過とともに減少し、0になるとHit Pointが減少します。
Experience: 経験値。モンスターを倒すことで上昇します。
Equipment: 現在装備している武器、魔法、鎧、盾、アイテムが表示されます。

ステータス詳細画面では、以下の情報が確認できます。

Name: 名前。
Rank: 戦士ランクと魔法使いランク。
Hit Point: 現在値と最大値。
Gold: 所持金。
Strength: 物理攻撃力。
Magic: 魔法攻撃力。
Defend: 防御力。
STR: 武力。
INT: 知識。
WIS: 智恵。
CHR: 魅力。
DEX: 器用。
AGL: 敏捷。
MGR: 魔法抵抗。
KRM: 業 (カルマ)。
KEY: 鍵の数。
CRN: 王冠の数。
ELX: 蘇生剤の数。

レベル構造

ゲーム空間は「レベル」と呼ばれ、各レベルには独立したダンジョンである「塔」が複数存在します。塔の内部は正方形の小部屋が連結された構造で、部屋ごとに画面が切り替わります。塔の広さは様々で、狭いものから広大なものまで存在します。塔はプログラム的に連結されており、アイテムを利用して壁を通り抜けたりすることで、別の塔へ移動することも可能です。塔の中には隠し部屋が存在し、強力な武器やアイテムが隠されています。

熟練度

武具、防具、アイテムには熟練度が設定されており、熟練度が低いと性能を十分に発揮できません。熟練度は、敵を攻撃したり、敵の攻撃を受けたり、アイテムを使用することで上昇します。熟練度が上昇すると、武器や魔法のダメージが増加したり、防御力が高まったり、アイテムの効果が向上したりします。

有限要素の管理

ザナドゥでは、敵やアイテムの数が限られています。プレイヤーは、アイテムの利用方法を慎重に選択し、リソースを管理する必要があります。例えば、数の少ないアイテムは使用を制限したり、熟練度を上げるアイテムは終盤のために残しておくなどの戦略が必要です。

カルマ

ザナドゥ独特の概念として「カルマ」があります。カルマが一定以上になると、寺院に入れなくなり、ランクアップが不可能になります。カルマは、倒すべきでない敵を倒したり、セーブ時にGoldが不足している場合に増加します。ブラックポーションを使用することでカルマを下げることができますが、ブラックポーションの数も限られています。

デカキャラ

塔の深部に配置されたボスキャラクターは、巨大なグラフィックで描かれており、「デカキャラ」と呼ばれました。これは当時のゲームとしては斬新な表現でした。

本作品の影響

ザナドゥの難易度の高さと独特のゲームシステムは、その後のゲーム業界に大きな影響を与えました。日本ファルコムは、ザナドゥの成功を受けて、より幅広い層にアピールする『イースシリーズ』を開発し、国内コンピュータゲーム市場における地位を確立しました。

バージョン

ザナドゥは、様々な機種に移植されました。それぞれの機種でグラフィックやサウンドが異なり、独自の要素が追加されています。

X1版: 最初に発売されたバージョン。カセットテープ版も存在しました。
PC-8801版: BEEP音のみでBGMが演奏されるバージョンと、FM音源に対応したバージョンがありました。
PC-8001mkII SR版: PC-8801SR版をベースに作成されています。
FM-7/77版: FM音源ボードに対応しています。
PC-9801版: FM音源に未対応で、BEEP音でBGMが演奏されます。
MSX2版: グラフィックが簡略化されています。
MSX版: ROMカートリッジで提供され、操作性が向上しています。

ザナドゥ・シナリオII

『ザナドゥ・シナリオII』は、ザナドゥの続編として1986年に発売されました。ゲーム内容が大幅に改修されており、難易度が向上しています。新たなモンスターやアイテムが登場し、塔の構造も変更されています。音楽は阿部隆人と古代祐三が担当しました。

その他のシリーズ作品

ザナドゥシリーズは、様々なプラットフォームで展開されています。

ファザナドゥ: ファミリーコンピュータ向けに発売された作品。
風の伝説ザナドゥシリーズ: PCエンジン向けに発売された作品。
リバイバルザナドゥ: PC-9801シリーズ向けのリメイク作品。
ザナドゥ・ネクスト: Windows向けに発売された作品。
東亰ザナドゥ: PlayStation Vita向けに発売された作品。

漫画・OVA

ザナドゥは、漫画化、OVA化もされています。都築和彦による漫画版は角川ドラゴンコミックスより刊行され、OVAは東映動画によって制作されました。

参考文献

山下章、『チャレンジ!!パソコン AVG & RPG II』、電波新聞社、1987年
『日本ファルコム30周年公式記念本 Falcom Chronicle』、アスキー・メディアワークス、2011年

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