ザバイカル・コサック軍

ザバイカル・コサック軍の概要

ザバイカル・コサック軍（Забайкальское казачье войско）は、1851年から1918年までロシア帝国において存在した軍事組織であり、主にバイカル湖周辺のザバイカル州で活動していました。バイカル・コサックとも呼ばれ、多様な民族が構成する特殊な軍隊でした。

編成と背景

この軍は1851年3月17日にロシア皇帝ニコライ1世の命令により設立されました。ザバイカル部隊の構成員は、シベリア・コサックと呼ばれるウクライナ人やロシア人、さらにはアジア系のブリヤート人やエヴェンキ人、地元農民など多様な人々が加わっていました。軍の目的は、清国との国境を警備し、地方の治安を確保することでした。

ザバイカル・コサック軍は、3つの騎兵連隊（第1・第2・第3ロシア騎兵連隊）および3つの歩兵旅団（第4エヴェンキ連隊、第5・第6ブリヤート連隊）から構成されていました。軍の指揮はアタマーンと呼ばれる指導者が担い、1871年以降はザバイカル州の軍事知事がその役割を兼ねるようになりました。特にチタ市が軍の中心地として機能していました。

軍事活動と歴史的背景

ザバイカル・コサック軍は、その歴史の中で重要な軍事活動に参加しました。例えば、1900年から1901年にかけての義和団の乱や、1904年から1905年の間の日本との戦争である日露戦争、さらには第一次世界大戦（1914年-1918年）でも重要な役割を果たしました。これらの戦争において、ザバイカル・コサック軍は平時には親衛半百人隊、騎兵連隊、砲兵大隊を国家に提供していましたが、危機的状況下ではより多くの部隊を動員することが求められました。

1916年の時点で、ザバイカル・コサック軍の人口は265,000人に達し、多くの義務を果たしていましたが、第一次世界大戦の際にはその数が14,500人に増加し、国防に貢献していました。彼らの軍服は特徴的で、高い毛皮の帽子に深青色の上着、灰色のズボンを着用し、アジアを象徴する黄色が採用されていました。

最後の時代と廃止

1918年、ロシア国内でボリシェビキが権力を握ると、ザバイカル・コサック軍は解散を余儀なくされました。この決定に対して、一部のコサックは反発し、ロシア内戦に参加しました。特にロマン・ウンゲルンやグリゴリー・セミョーノフなどが指導者として派遣されましたが、1920年にはボリシェビキが勝利したことにより、ザバイカル・コサックは最終的に消滅しました。残されたコサックは漫長な逃避行の末、満州に逃れることになりました。

参考文献

• - （ロシア語）История казачества Азиатской России: в 3 т. / В.В. Алексеев; Н.А. Миненко. - Екатеринбург, 1995.
• - （ロシア語）ザバイカル・コサック軍 // ソ連大百科事典

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