ザババ

ザババ：古代メソポタミアの戦神

ザババ（またはザママ）は、古代メソポタミア神話において戦いを司る男神として知られています。特にバビロニア北部の都市キシュで都市神として崇拝され、初期王朝時代（紀元前2900～2350年）には重要な信仰の対象となっていました。

ニンギルスとの同一視

古バビロニア時代（紀元前1830年頃）に入ると、ザババはラガシュの主神であるニンギルス（ニヌルタ）と同一視されるようになりました。これにより、ザババの神格はさらに複雑化し、広範な地域で信仰されるようになったと考えられます。

神殿と建設

ザババの神殿であるエメテウルサグは、スムラエル王の時代（紀元前1880～1845年）に建設されました。この神殿は、ザババ信仰の中心地として機能し、様々な儀式や祭事が行われていたことでしょう。

配偶神について

通常、ザババの配偶神はラガシュの都市神であるババとされています。しかし、キシュにおいては、戦いの神という共通点から、ザババとイナンナ/イシュタルがペアとして扱われることが多くありました。古代バビロニアの王サムス・イルナの碑文には、ザババとイシュタルがキシュの主神として刻まれています。また、ハンムラビ王は、キシュのザババ神殿エメテウルサグを改修した際、ザババとイナンナが住まう場所として塔を建設しました。サムス・イルナも同様に、ザババとイナンナのためにジッグラトを建造しています。

イナンナ/イシュタルとの関係

イナンナ/イシュタルがザババの配偶神として描かれることもありますが、サムス・イルナがキシュの城壁を修繕した記録には、イナンナが「ザババの最愛の妹」と記述されています。このことから、イナンナはザババの妹であるという解釈も存在します。このように、ザババとイナンナ/イシュタルの関係は、配偶神、姉妹など様々な形で語られています。

戦いの神、誓約の神

ザババは戦いの神として、王の遠征を守護する役割を担っていました。また、誓約の神としての側面も持ち合わせており、誓いを立てる際にその名が用いられました。ザババの武器はカーミ・ターミス（誓いを立てたものを結びつけるもの）と呼ばれ、誓約の神としての性格を象徴していました。

マナナ王朝との関係

キシュのマナナ王朝時代には、不動産取引や給与の支払いといった公的な記録において、「ザババとイアウィウム王（Yawirum、またはIawium）の名により」という文言で誓約が頻繁に行われていました。この事実は、ザババが当時の社会生活において重要な役割を果たしていたことを示しています。

象徴

ザババのシンボルとしては、鷲頭の杖が用いられました。また、ライオンの頭の杖やメイスと共に描かれることもあります。別の文献では、ザババは右手にライオン、左手に鷲をモチーフとした二本のシミターを持っているとされ、これらはイガリマ、シュルシャガナという名前で人格化され、神格化されています。

イガリマとシュルシャガナ

イガリマとシュルシャガナは、ニップルの女神ニン・ニニブとニヌルタの2人の息子として描かれることもあります。また、ラガシュ市の主神ニンギルスとババの2人の息子として描かれることもあります。

関連項目

* 戦姫絶唱シンフォギア

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