ジッグラト

ジッグラトの魅力と歴史

ジッグラトは、古代メソポタミアにおいて重要な宗教的・文化的象徴とされる階段状の聖塔です。その名はアッカド語で「高い所」を意味し、主に日干煉瓦で築かれた特異な建築様式を持っています。ジッグラトは聖なる山の信仰に由来し、自然の山に対する崇拝が起源として考えられています。この高層建築は、神々との結びつきを追求し、人工的な山のイメージを持つ神殿を中心に構成されていました。

古代のシュメール文化において、ジッグラトは一般に地上の神殿群に附属し、その頂上には神を祀る神殿が設置されていました。残念ながら、その具体的な機能や目的については今も明確ではありません。しかし、これまでの研究によると、ジッグラトは都市の中心に位置することが多く、崇拝者にとっての重要な儀式の場であったことが伺えます。

時代と建築技術

紀元前5000年頃、南部メソポタミアのエリドゥで都市や神殿の建築が始まり、その後、紀元前3000年頃にシュメール・アッカド時代が進展する中でジッグラトが登場しました。特に王を中心とした社会構造の中で、エジプト同様に大型の建物は王権を象徴するものとされ、権力の象徴としての重要な役割を持っていました。

その建築様式に目を向けると、メソポタミアの建物はしばしば静的かつ彫刻的な要素が強調される傾向にあります。古代ギリシアの歴史家ヘロドトスが記した『歴史』や旧約聖書の『創世記』に見られるバベルの塔は、バビロンに存在したジッグラトからインスパイアを受けたとも言われています。

代表的なジッグラトの例

ウルのジッグラト

ウルのジッグラト（エ・テメン・ニグル）は紀元前2100年頃にウル第三王朝のウル・ナンムによって建設されました。この構造は、第一層の底面が62.5m×43m、高さ11m、第二層の底面が38.2m×26.4m、高さ5.7mと規模が大きく、最上部に月神ナンナを祀る神殿があります。基部は長方形で、四つの角は東西南北を指し示すように設計されています。外部は、日干煉瓦と焼成煉瓦を使用し、さらに控え壁によって規則的な凹凸を生み出しています。これにより、建物は単調ではなく視覚的な趣を持つことが意図されていました。

ドゥル・シャルキン

ドゥル・シャルキンは、紀元前8世紀末にアッシリア帝国のサルゴン2世によって建設されました。ウルのジッグラトとは異なり、基部は正方形で、中心部から左回りにらせん状に巻いて頂上に達する構造を持っています。傾斜路の幅は約1.8mで、四層の外壁は色彩豊かであることが確認されており、白、黒、赤、青の順で塗られています。

まとめ

ジッグラトは歴史的な建築物であると同時に、当時の人々の宗教観や社会構造を映し出す存在です。その設計は、神々が降臨するための特別な空間を意図して作られ、視覚的美しさや神聖さを重視したものでした。これらの建物を通じて、古代メソポタミア文明の深い理解が促進され、私たちはその時代の信仰や文化を探求する手がかりを得ることができます。

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