ザ・カンニング IQ=0

ザ・カンニング[IQ=0]

『ザ・カンニング[IQ=0]』（原題: Les Sous-doués Passent le Bac、英題: The Under-Gifted）は、1980年にフランスで製作されたコメディ映画である。フランスの大学入学資格試験である「バカロレア」の合格を目指す、ある予備校の落ちこぼれ生徒たちの奮闘を、時に過激なユーモアを交えながら描く。

概要

物語の舞台は、ヴェルサイユにあるバカロレア予備校「ルイ14世予備校」。校長のリュシー・ジュマンクールは、在校生の中からバカロレア合格者がゼロだったというテレビ報道に激怒し、夫であるレオンの反対を押し切って、新学期から抜本的な方針転換、すなわち厳格なスパルタ教育を導入する。これに対し、詰め込み式の授業や体罰まがいの指導に耐えかねた生徒たちは猛反発。物語の前半では、リュシー校長の強権的な指導と、それに対抗する生徒たちの様々な嫌がらせやいたずらが応酬される。

生徒たちの度重なる反抗に、リュシー校長はさらに憤りを募らせる。彼女はついにアメリカから「学習マシーン」なるものを輸入。これは問題に正解すれば飴が出てくるが、間違えればビンタを食らわせるという奇妙な機械だった。この機械を使った強制的な特訓に不満を爆発させた生徒たちは、校長への報復として、予備校にあったクスクスの鍋に時限式のびっくり箱を仕掛ける計画を立てる。

しかし、この計画を偶然耳にしたイエメン大使館爆破を狙うテロリストが、別の同型クスクス鍋を用いて高性能爆弾（トリニトロトルエンを使用）を作成したことで、事態は予期せぬ方向へ急変する。追い討ちをかけるように、生徒が仕掛けた鍋とテロリストの鍋が、偶然にもほぼ同時に持ち込まれて入れ替わってしまう。びっくり箱が大使館に、そして本物の爆弾が予備校に運び込まれてしまったのだ。思わぬ事態に発展したことを悟った生徒たちは、急いで警察に通報する。ほぼ同時刻、大使館に運び込まれたびっくり箱が作動したことで騒ぎとなり、事態が発覚する。爆弾テロという最悪の事態は回避できたものの、爆弾が発見されたのと同時に予備校は校長夫妻の部屋を残して爆破され、爆弾を持っていた警官も犠牲となってしまう。

この事件により、生徒たちは裁判にかけられる。無実を訴える生徒たちに対し、裁判長は驚くべき司法取引を持ちかける。「生徒全員がバカロレアに合格した場合に限り、無罪とする」という条件だった。しかし、合格に必要な実力がないことを自覚していた生徒たちは、この絶体絶命の状況を乗り切るため、持ち前の知恵と結束力、そしてあらゆる種類のカンニングを駆使して、バカロレア試験という名の最終決戦に挑むことになる。

日本での公開

日本では1982年に劇場公開され、1983年10月29日にはフジテレビ系の「ゴールデン洋画劇場」でテレビ初放送された。この時の日本語吹き替え版では、人気アイドルグループ「初代いいとも青年隊」が声優として参加し、久保田篤がベベル、野々村真がエコロ、羽賀研二がジュリアンをそれぞれ担当した。日本初公開時のテレビCMでは、「文部省非推薦」「学校関係の方は立入禁止です」といった、教育関係者を意識的に挑発するようなキャッチコピーが使用され、話題を呼んだ。

キャスト

ルイ14世予備校・生徒

ベベル - ダニエル・オートゥイユ（日本語吹き替え：久保田篤）
ジュリアン - フィリップ・タッシーニ（日本語吹き替え：羽賀研二）
ガエタン - ガエタン・ブルーム（日本語吹き替え：安西正弘）
グラフィティ - パトリック・ローラン（日本語吹き替え：石丸博也）
ジャンヌ - カトリーヌ・エラルディ（日本語吹き替え：川浪葉子）
カロリーヌ - フランソワーズ・ミショー（日本語吹き替え：平淑恵）
モハメド（オノレ） - アンリ・アタル
ガストン - レイモン・ビュシエール（日本語吹き替え：大久保正信）
エコロ - マチュー・スチフマン（日本語吹き替え：野々村真）

ルイ14世予備校・講師

リュシー・ジュマンクール（校長、哲学・倫理担当） - マリア・パコム（日本語吹き替え：武藤礼子）
レオン・ジュマンクール（数学・英語・物理・化学担当） - ユベール・デシャン（日本語吹き替え：川久保潔）
カトリーヌ・ジュマンクール（歴史・地理担当） - トニー・マーシャル
ブリュス・カテカ（体育・生徒指導担当） - ドミニク・ユラン
マルト（ジュマンクール家の家政婦） - マリー＝テレーズ・オラン

その他

グロッセ警部 - ミシェル・ガラブリュ（日本語吹き替え：富田耕生）
ムスタファ（テロリスト） - モハメド・ジネット

続編

1982年には続編となる『ザ・カンニング アルバイト情報』（原題：Les Sous-doués en Vacances）が製作されている。

規制

フィンランドとノルウェーでは、この映画はK-12（12歳未満視聴不可）の規制を受けている。

もう一度検索