ザ・クリスマス・ソング

ザ・クリスマス・ソング (The Christmas Song)

「ザ・クリスマス・ソング」は、1944年にメル・トーメとボブ・ウェルズによって作詞・作曲されたクリスマスソングです。副題として「Chestnuts Roasting on an Open Fire」や「Merry Christmas to You」が添えられることもあります。

この曲は、ナット・キング・コールによる歌唱が特に有名で、クリスマスの定番曲として広く親しまれています。

誕生秘話

メル・トーメによれば、この曲は夏の暑い盛りに書かれたそうです。当時、トーメは「涼しいことを考えてクールに過ごそう」としていたところ、この曲のアイデアが浮かんだと言います。

共作者であるボブ・ウェルズがピアノの上に置いたノートには、「クリを焼く...」「ジャック・フロストが凍えさせる...」「ユールのキャロル...」「みんなエスキモーのように着込んでいる」という4行の歌詞が鉛筆で書かれていました。ウェルズは冬の情景を思い浮かべることで、少しでも涼を感じようとしていたようです。

トーメは40分ほどで曲を完成させ、「作曲は僕が全部やったし、歌詞の一部も僕が書いた」と語っています。

ナット・キング・コールの録音

ナット・キング・コールは、この曲を生涯で4回録音しています。

1回目の録音 (1946年6月14日)
ザ・キング・コール・トリオによる最初の録音です。この音源は、1989年にコンピレーションアルバムに収録されるまで公開されませんでした。

2回目の録音 (1946年8月19日)
ストリングスを加えたバージョンで、初めて発売された録音です。ポップチャートとR&Bチャートで大ヒットしました。

3回目の録音 (1953年8月24日)
ネルソン・リドルの編曲と指揮によるフルオーケストラ伴奏で録音されました。この録音は、磁気テープを使用した初めての録音です。

4回目の録音 (1961年3月30日)
ラルフ・カーマイケルの指揮するオーケストラによるステレオ録音で、最も広く知られているバージョンです。クリスマスの時期にはラジオで頻繁に放送されます。このバージョンは、1962年に発表されたアルバム「The Christmas Song」に収録されています。

1946年の最初の録音は、1974年にグラミーの殿堂入りを果たしました。また、2004年の調査では、30代・40代の女性に最も愛されているクリスマスソングとされています。

その他の録音

メル・トーメ自身も、この曲を複数回録音しています。1954年のライブアルバム『At the Crescendo』、1961年のアルバム『My Kind of Music』、1966年のクリスマスシングル、1992年のアルバム『Christmas Songs』などで、それぞれの魅力的なバージョンを聴くことができます。

また、ナット・キング・コールの最初の録音をカバーしたレコードも多く存在します。最初のカバーは、デッカ・レーベルのディック・ヘイムズによるものとされていますが、最初に録音したのはマジェスティック・レコードのエディ・ハワードでした。

音楽史に残る名曲

「ザ・クリスマス・ソング」は、2012年にBBC Fourが放送した『ザ・リッチエスト・ソングス・イン・ザ・ワールド』で、音楽著作権で史上最も稼いだ曲の第10位に選出されました。

この曲は、時代を超えて愛されるクリスマスソングとして、これからも多くの人々に感動を与え続けるでしょう。

外部リンク

「ザ・クリスマス・ソング」の歌詞 - メトロリリック

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