ザ・スライダー

アルバム『ザ・スライダー』

『ザ・スライダー』（The Slider）は、イギリスのロックバンドT・レックスが1972年にリリースしたスタジオアルバムであり、彼らが"ティラノザウルス・レックス"から改名して以来の3作目、全体としては7作目にあたります。

背景

T・レックスは1970年から契約していたフライ・レコードとの関係が終了し、独自のレーベル「T Rex Wax Co.」を立ち上げました。この新しいレーベルから最初にリリースされた楽曲が先行シングル「テレグラム・サム」です。アルバム収録曲の一つ「ビューイック・マッケイン」は、レッド・ツェッペリンを意識して制作され、マーク・ボランはそのスタイルを「Zep Rex」と形容しました。

アルバムのジャケットは元ビートルズのリンゴ・スターの手によるものとされている一方で、プロデューサーのトニー・ヴィスコンティは、自分がその写真を撮影したと主張しています。

反響

「テレグラム・サム」と「メタル・グルー」という先行シングルは、いずれも全英シングルチャート1位を獲得しました。一方、全英アルバムチャートでは18週にわたってトップ100に入り続けたものの、最高位は4位に留まりました。日本では、オリコンLPチャートでも32週もトップ100にランクインし、最高で6位を記録しており、T・レックスの初のトップ10アルバムとなりました。また、アメリカのBillboard 200にも24週エントリーし、最高位17位を記録しました。これにより、本作はバンド唯一の全米トップ20アルバムとなりました。

評価と影響

音楽評論家スティーヴ・ヒューイは、オールミュージックにおいて本作に満点の5点を付け、「前作『電気の武者』をほぼそのまま継承しながらも、『ザ・スライダー』は精緻に作られており、前作と同等の名盤である」と評価しました。また、アメリカのロックバンドガンズ・アンド・ローゼズは、その後のアルバム『ザ・スパゲッティ・インシデント?』において「ビューイック・マッケイン」をカバーしています。

収録曲

本アルバムには、すべての楽曲がマーク・ボランの作です:

• - メタル・グルー - Metal Guru (2:26)
• - ミスティック・レディ - Mystic Lady (3:10)
• - ロック・オン - Rock On (3:27)
• - ザ・スライダー - The Slider (3:22)
• - ベイビー・ブーメラン - Baby Boomerang (2:16)
• - スペースボール・リコチェット - Spaceball Ricochet (3:36)
• - ビューイック・マッケイン - Buick MacKane (3:31)
• - テレグラム・サム - Telegram Sam (3:46)
• - ラビット・ファイター - Rabbit Fighter (3:55)
• - ベイビー・ストレンジ - Baby Strange (3:06)
• - ボールルームス・オブ・マーズ - Ballrooms of Mars (4:08)
• - チャリオット・チューグル - Chariot Choogle (2:45)
• - メイン・マン - Main Man (4:13)

参加ミュージシャン

• - マーク・ボラン - ボーカル、ギター
• - ミッキー・フィン - パーカッション、コンガ、ボーカル
• - スティーヴ・カーリー - ベース
• - ビル・レジェンド - ドラムス

補足

1972年にリリースされた記念すべきアルバム『ザ・スライダー』は、T・レックスの歴史の中で重要な一作であり、音楽シーンに大きな影響を与えました。

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