ザ・セブンス・ワン〜第7の剣〜

アルバム概要

『ザ・セブンス・ワン〜第7の剣〜』（原題：The Seventh One）は、アメリカ合衆国の著名なロックバンド、TOTOによって1988年に発表された、彼らにとって通算7枚目となるオリジナル・スタジオ・アルバムです。バンドが過去に発表し、商業的にも大きな成功を収めたアルバム『聖なる剣』（アイソレーション）を彷彿とさせる、アダルト・オリエンテッド・ロック（AOR）の要素を色濃く反映した作品として知られています。洗練されたサウンドプロダクションと、親しみやすいメロディラインが特徴的な作風で、TOTO後期の代表作の一つとして挙げられます。

制作背景とメンバー構成

本作は、当時のリード・ボーカルであったジョセフ・ウィリアムズが、1989年のバンド脱退に先立ってレコーディングに参加した最後のオリジナル・スタジオ・アルバムという歴史的な意味合いも持っています。彼の伸びやかな歌声が、アルバム全体のAORサウンドに彩りを添えています。

レギュラーメンバーは、ギタリストのスティーヴ・ルカサー、キーボーディストのデヴィッド・ペイチ、ドラマーのジェフ・ポーカロ、ベーシストのマイク・ポーカロ、そしてボーカルのジョセフ・ウィリアムズというラインナップでした。特にジェフ・ポーカロのリズムワークは、このアルバムのグルーヴ感を支える重要な要素となっています。

また、前作『ファーレンハイト』を最後に正式メンバーとしての活動を終えていたキーボーディストのスティーヴ・ポーカロが、本作ではゲストミュージシャンという形でレコーディングにほぼ全面的に参加している点が特筆されます。彼の繊細なキーボードプレイは多くの楽曲で聴くことができ、さらに、アルバムリリース後のワールドツアーにも彼は帯同しています。

収録曲とシングルヒット

日本盤にはボーナス・トラックを含め、全12曲が収録されています。いずれの楽曲もクオリティが高く、AORファンからバンドの従来のファンまで幅広い層にアピールする内容となっています。

主要な収録曲は以下の通りです。

パメラ - "Pamela" (David Paich, Joseph Williams)
ユー・ゴット・ミー - "You Got Me" (D. Paich, J. Williams)
アンナ - "Anna" (Steve Lukather, Randy Goodrum)
ストップ・ラヴィング・ユー - "Stop Loving You" (S. Lukather, D. Paich)
ムシャンガ - "Mushanga" (D. Paich, Jeff Porcaro)
ステイ・アウェイ - "Stay Away" (D. Paich, S. Lukather)
ストレイト・フォー・ザ・ハート - "Straight for the Heart" (D. Paich, J. Williams)
オンリー・ザ・チルドレン - "Only the Children" (D. Paich, S. Lukather, J. Williams)
サウザンド・イヤーズ - "A Thousand Years" - (J. Williams, Mark T. Williams, D. Paich)
ジーズ・チェインズ - "These Chains" (S. Lukather, R. Goodrum)
ホーム・オブ・ザ・ブレイヴ - "Home of the Brave" - (D. Paich, S. Lukather, Jimmy Webb & J. Williams)
ザ・セブンス・ワン - "The Seventh One" - (M. Porcaro, J. Porcaro, S. Lukather, D. Paich, J. Williams)（日本盤ボーナストラック）

このアルバムからは、「パメラ」、「ストップ・ラヴィング・ユー」、「ムシャンガ」といった楽曲がシングルカットされ、ヒットを記録しました。特に「パメラ」は、日本国内においてマツダ・カペラのテレビCMソングに起用されたことで広く知られるようになりました。「ストップ・ラヴィング・ユー」は、バンドが1988年4月27日にフジテレビ系の音楽番組『夜のヒットスタジオDELUXE』に生出演した際に披露され、話題となりました。

アルバムのタイトルチューンである「ザ・セブンス・ワン」は、元々日本盤のみにボーナス・トラックとして収録された楽曲であり、本国アメリカでは後年リリースされたバンドのコンピレーション・アルバムなどで初めて公式に聴くことができるようになりました。

ゲストミュージシャン

本作には、レギュラーメンバーとスティーヴ・ポーカロに加え、豪華なゲストミュージシャンが多数参加し、アルバムのサウンドに深みと広がりを与えています。

スティーヴ・ポーカロ - キーボード
パティ・オースティン - バッキング・ボーカル
ジョン・アンダーソン - バッキング・ボーカル
リンダ・ロンシュタット - バッキング・ボーカル
トム・ケリー - バッキング・ボーカル
ジョー・ポーカロ - ヴィブラフォン、パーカッション
ジム・ケルトナー - パーカッション
マイケル・フィッシャー - パーカッション
ビル・ペイン - キーボード
ジム・ホーン - サクソフォーン
デヴィッド・リンドレー - ラップ・スティール・ギター
トム・スコット - ホーン・アレンジ
* マーティ・ペイチ - ストリングス・アレンジ

これらの優れたミュージシャンたちの貢献により、『ザ・セブンス・ワン〜第7の剣〜』は、TOTOの円熟期におけるAORサウンドの到達点を示す作品の一つとして、今なお多くのファンに愛されています。

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