ザ・ハーティング

『ザ・ハーティング』（The Hurting）は、イギリスのニュー・ウェイヴバンド、ティアーズ・フォー・フィアーズが1983年に発表した記念すべきファースト・アルバムです。旧邦題は『チェンジ』で、原題は「傷つけるもの」という意味を持っています。

概要

このアルバムは、バンドにとって初の全英チャート1位を獲得という快挙を達成しました。また、「狂気の世界（Mad World）」、「チェンジ（Change）」、「ペイル・シェルター（Pale Shelter）」といったシングル曲が、いずれも全英シングルチャートのトップ5に入る大ヒットを記録し、アルバムの成功を大きく後押ししました。

1999年にはリマスターCDが発売され、アルバム未収録だったシングル曲やリミックス音源など、4曲がボーナス・トラックとして追加収録されました。これにより、アルバムの魅力がさらに深まり、ファンにとっては嬉しいサプライズとなりました。

2013年には、アルバム発売30周年を記念した豪華なボックスセット『The Hurting: Super Deluxe Edition』がリリースされました。このボックスセットは、CD3枚（オリジナル・アルバム、シングル&B面曲集、ラジオ・セッション音源集）とDVD1枚（既発の映像作品『イン・マイ・マインズ・アイ〜ライヴ・アット・ハマースミス・オデオン』）で構成されており、彼らの初期の活動を網羅的に知ることができる貴重な内容となっています。

収録曲について

収録曲は以下の通りです。特筆すべきは、ローランド・オーザバルが全曲の作詞作曲を手掛けている点です（「ザ・ウェイ・ユー・アー（エクステンディッド）」を除く）。彼の内省的で繊細な歌詞と、シンセサイザーを多用した独特のサウンドが、アルバム全体を特徴づけています。

1. ザ・ハーティング - "The Hurting" – 4:20
2. 狂気の世界 - "Mad World" – 3:35
3. ペイル・シェルター - "Pale Shelter" – 4:34
4. アイディアズ・アズ・オピエイツ - "Ideas as Opiates" – 3:46
5. 想い出は消え失せて - "Memories Fade" – 5:08
6. 悩める子供達 - "Suffer the Children" – 3:53
7. ウォッチ・ミー・ブリード - "Watch Me Bleed" – 4:18
8. チェンジ（ロング・ヴァージョン） - "Change" – 4:15
9. ザ・プリズナー - "The Prisoner" – 2:55
10. ザ・ブレイクダウン - "Start of the Breakdown" – 5:00

1999年リマスター盤には、以下の4曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。

1. ペイル・シェルター（ロング・ヴァージョン） - "Pale Shelter" (Long Version) – 7:09
2. ザ・ウェイ・ユー・アー（エクステンディッド） - "The Way You Are" (Extended)(Elias/Orzabal/Smith/Stanley) – 7:43
3. 狂気の世界（ワールド・リミックス） - "Mad World" (World Remix) – 3:42
4. チェンジ（エクステンディッド・ヴァージョン） - "Change" (Extended Version) – 6:00

参加ミュージシャン

アルバムには、以下のミュージシャンが参加しています。

ローランド・オーザバル - ボーカル、ギター、キーボード、ピアノ
カート・スミス - ボーカル、ベース、キーボード
イアン・スタンリー - キーボード
マニー・エリアス - ドラムス

また、ゲスト・ミュージシャンとして、クリス・ヒューズ（リズム・プログラミング）、ロス・カラム（パーカッション）、メル・コリンズ（サックス）、キャロライン・オーザバル（バッキング・ボーカル）が参加しています。

『ザ・ハーティング』は、ティアーズ・フォー・フィアーズの音楽性を確立した重要な作品であり、1980年代のニュー・ウェイヴを代表するアルバムの一つとして、今もなお多くの音楽ファンに愛され続けています。

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