ザ・バンク・ディック

ザ・バンク・ディック

『ザ・バンク・ディック』（原題: The Bank Dick）は、1940年に公開されたアメリカのコメディ映画であり、W・C・フィールズの代表作の一つとされています。この作品は、カリフォルニア州ロンポクを舞台に、酔っ払いである主人公イグバート・スーゼを中心に展開するストーリーです。彼は誤って銀行強盗を企ててしまうものの、結果的には警備員としての役割を担うことになり、様々なトラブルに巻き込まれます。

ポイントとなるキャラクター

イグバート・スーゼは、フィールズ自身によって巧みに演じられています。このキャラクターは、「スーゼ」という名前が「大酒飲み」という意味の俗語「サウス」（Souse）と誤解されることに何度も苛立ちを覚えながらも、「e にアクサングラーヴがつくんだ！」と強調するユーモラスな性格です。この単純なボケが、観客に笑いを提供しつつ、フィールズ独特の風刺が効いています。

妻や義母、子どもたちに振り回される姿は、フィールズの他作品にも見られる典型的なキャラクターで、家族との摩擦が見どころの一つとなっています。映画の中には、映画監督を演じる場面や、スリリングなカーチェイスなども含まれ、単なるコメディに留まらず、多様なエンターテインメント要素が盛り込まれています。

脚本と制作

フィルムの脚本は、フィールズ自身が「マハトマ・ケーン・ジーヴス」というペンネームで執筆し、エドワード・F・クラインが監督を務めました。この変名は、ブロードウェイで使われていたセリフ「My hat, my cane, Jeeves!」に由来しています。また、三ばか大将の一人であるシェンプ・ハワードもバーテンダー役で登場し、作品にさらなるユーモアを加えています。

文化的影響と評価

1992年には、アメリカ議会図書館によって文化的、歴史的、美的に重要な作品とされ、アメリカ国立フィルム登録簿に保存されることになりました。また、この映画は2003年にスティーヴン・ジェイ・シュナイダーの『死ぬまでに観たい映画1001本』にも掲載されるなど、その影響力は今もなお健在です。

さらに、映画評論サイト「Rotten Tomatoes」では100%の評価を得ており、スタンリー・キューブリックが1963年に選んだお気に入りの映画の一つとしても取り上げられています。これにより、『ザ・バンク・ディック』がコメディ映画の金字塔として位置付けられる理由も納得です。

キャスト

主なキャストには、W・C・フィールズ（イグバート・スーゼ役）、コーラ・ウィザースプーン（アガサ・スーゼ役）、ウーナ・メルケル（マートル・スーゼ役）、イヴリン・デル・リオ（エルシー・メイ・アデル・ブランシュ・スーゼ役）など、豪華な顔ぶれが揃っています。彼らが織りなす会話や人間関係も、フィルムの魅力を引き立てています。

この映画は、単なるコメディ作品を超えて、時代を超えた魅力を持っており、現代の観客にも新しい発見をもたらすことでしょう。

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