ザ・ローリング・ストーンズ No.2

ザ・ローリング・ストーンズ No.2：成功と論争の狭間で生まれた名盤

1965年、ローリング・ストーンズはイギリスで2作目のオリジナルアルバム『ザ・ローリング・ストーンズ No.2』(The Rolling Stones No.2)をリリースしました。このアルバムは、バンドの初期のエネルギーと、アメリカン・ブルースへの深い敬意を反映した作品として知られています。

制作過程：大西洋をまたいだレコーディング

本作のレコーディングは、バンドにとって初のアメリカツアーと重なる形で、シカゴ、ロンドン、ロサンゼルスと、大西洋をまたぐ複数のスタジオで行われました。1964年から1965年にかけて断続的に行われたレコーディングは、まさにバンドの勢いそのままに、慌ただしく進められた様子が伺えます。多忙なツアー日程の合間を縫って行われたレコーディングは、バンドの情熱と音楽への真剣さが伝わってくるエピソードと言えるでしょう。

楽曲構成：ブルースの魂とオリジナル曲の輝き

アルバムは、チャック・ベリーやソломон・バークといったブルース・ミュージシャンの楽曲カバーを多く収録しており、ストーンズのルーツであるブルースへの深い愛情が感じられます。一方で、「ホワット・ア・シェイム」や「グロウン・アップ・ロング」など、ミック・ジャガーとキース・リチャーズによるオリジナル曲も収録され、バンドのソングライティング能力の高さを示しています。これらのオリジナル曲は、ブルースの要素を取り入れながらも、ストーンズ独自のサウンドを確立していると言えるでしょう。

先行してアメリカで発売された『12×5』とジャケット写真が同じだったことや、いくつかの収録曲が共通している点も興味深いところです。このことは、アルバム制作における時間的な制約や、当時のレコード業界の状況を反映しているのかもしれません。

ライナーノーツ問題と社会的な反響

本作の裏ジャケットに掲載された、マネージャーでありプロデューサーでもあったアンドリュー・ルーグ・オールダムによるライナーノーツの一節、「もし君がパンさえ買えないようなら、盲人の頭を叩いて財布を盗んででも買え」というセンセーショナルな記述が大きな批判を浴びました。この問題発言は上院議会で取り上げられるほどに発展し、セカンドプレス以降は修正される事態となりました。この一件は、アルバムの成功とは裏腹に、バンドが社会的な批判にさらされた象徴的な出来事と言えるでしょう。

チャート成績と評価：成功と賛否両論

しかし、これらの論争にも関わらず、『ザ・ローリング・ストーンズ No.2』はイギリスのチャートで10週間1位を獲得し、37週間連続チャートインという素晴らしい成績を収めました。しかし、評価は必ずしも一様ではありませんでした。ビートルズのジョン・レノンは、「アルバムは素晴らしいが、5分もかかる曲は気に入らない」とコメントしており、このアルバムに対する評価の多様性を示しています。

長らく廃盤、そして再評価

アメリカ盤の発売を優先したアブコ・レコードの戦略により、本作は長らく廃盤状態が続いていました。しかし、2011年にはハイレゾリューション・デジタル配信で再発され、2016年には15枚組ボックスセット『MONO BOX』に収録されることで、再び注目を集めました。これは、本作が時代を超えて再評価されていることを示すと言えるでしょう。

まとめ：時代を超えて愛される名盤

『ザ・ローリング・ストーンズ No.2』は、制作過程における苦労や社会的な批判、そして商業的な戦略など、数々の困難を経験しながらも、ローリング・ストーンズの初期の代表作として、そしてロック史に残る名盤として、現在も高い評価を受けています。その音楽性と歴史的背景を踏まえると、本作は単なる音楽作品という枠を超えて、一つの時代の縮図として捉えることができるでしょう。

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