12×5

ローリング・ストーンズのアメリカにおける2作目のアルバム『12×5 (トゥエルブ・バイ・ファイヴ)』は、彼らが築き上げた成功をさらに押し上げる重要な作品となりました。前作に続く大ヒットを記録したこのアルバムは、R&Bナンバーのカヴァーを数多く収録しながらも、ミック・ジャガーとキース・リチャーズによるオリジナル楽曲も3曲収録されています。これらのオリジナル曲は、ナンカー・フェルジ名義で発表され、彼らのソングライティング能力の高さを示すものとなりました。

アルバム制作は1964年6月、シカゴのチェス・スタジオで行われたセッションが中心でした。そのセッションから生まれた楽曲をもとに、イギリスでの配給元であるデッカ・[[レコード]]は、5曲入りのEP『ファイヴ・バイ・ファイヴ』をまずリリースしました。しかし、当時アメリカではEPが一般的ではなかったことから、ロンドン・レコードは7曲を追加し、12曲入りのアルバムとして『12×5』を発売することにしたのです。このタイトルには、12曲を5人のメンバーで演奏したという意味が込められています。ちなみに、デッカ・[[レコード]]は本作の写真を流用し、後に『ザ・ローリング・ストーンズ No.2』を発売しています。

『12×5』は前作を上回るスピードでチャートを駆け上がり、3位にまで到達。ゴールドアルバムを獲得するなど、商業的にも大きな成功を収めました。その人気ぶりは、後年まで続く彼らの音楽キャリアの重要な転換点となったと言えるでしょう。

アルバム収録曲は、チャック・ベリーの「アラウンド・アンド・アラウンド」やジェイ・マクシャンの「コンフェッシン・ザ・ブルース」といったR&Bの名曲のカヴァーに加え、彼らのオリジナル曲も含まれています。「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」は特に有名で、彼らの代表曲の一つとして知られています。また、アルバムにはオリジナルLPには収録されていなかった楽曲「2120 South Michigan Avenue」の長尺バージョンが、2002年のリマスター版で初収録されるなど、時代の変化に合わせて内容がアップデートされてきました。

その後、本作は2002年8月にアブコ・レコードよりリマスターされ、SACDとのハイブリッドCDとしてデジパック仕様で再発。さらに2006年3月には紙ジャケット仕様での再発売も行われるなど、長年にわたって音楽ファンに愛され続けていることがわかります。これらの再発は、音質の向上だけでなく、当時の音楽シーンを彷彿とさせるパッケージングにもこだわったものでした。

『12×5』は、ローリング・ストーンズの初期の勢いと才能、そしてR&Bに対する深い愛情が凝縮された作品です。彼らの音楽的ルーツを辿る上でも、そして1960年代の音楽シーンを理解する上でも、欠かせない一枚と言えるでしょう。多様な楽曲が収録され、彼らの音楽的幅の広さを示す本作は、時代を超えて聴き継がれる名盤として、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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