ザーリャ

ザーリャ（Zarya）：ISSの最初のモジュール

ザーリャ（露: Заря́）は、[国際宇宙ステーション]の最初のモジュールであり、ロシア語で「日の出」を意味する言葉です。このモジュールは、ISSの建設初期において、電力供給、貯蔵、推進・姿勢制御、誘導といった重要な機能を提供しました。

概要

ザーリャは「基本機能モジュール」とも呼ばれ、ロシアのサリュート計画のために設計されたTKSを基にしています。ISSの他のモジュールが建設されるにつれて、ザーリャの初期の役割は縮小し、不要になった機器は撤去されました。現在では、与圧区画は倉庫や通路として利用されています。外部の燃料タンクは推進剤の貯蔵用として使用されていますが、スラスタは使用されていません。

ザーリャの設計寿命は15年以上であり、ISSで最初に設計寿命に達する与圧モジュールとなります。しかし、米国とロシアによる寿命延長のための構造評価が行われており、2020年頃までは問題なく使用できると考えられています。

名称

「ザーリャ」という名前は、宇宙空間における国際協調の新時代を象徴しています。ロシア語の発音では「ザリャー」となりますが、日本では英語の発音に基づいた「ザーリャ」という表記が用いられています。

設計

ザーリャは全長12.55m、最大直径4.1m、重量19.3トンです。3つのドッキングポートを持ち、両端と側面に配置されています。一端にはズヴェズダが、もう一端にはPMA-1を介してユニティが接続されています。側面（地球方向側）のポートは、ロシアのソユーズやプログレス補給船のドッキングに使用されていましたが、2010年5月にはミニ・リサーチ・モジュール1(MRM-1)が結合されました。

2枚のソーラーパネルと6基のニッケル・カドミウム電池を搭載し、平均3kWの電力を供給していました。しかし、2007年9月にラジエータとの干渉を避けるためにソーラーパネルが折り畳まれ、以後は米国側から電力供給を受けています。16個の外部燃料タンクには6トンの推進剤を貯蔵でき、24基の大型スラスターと12基の小型スラスター、2基の大型エンジンで軌道制御を行っていました。

初期にはバッテリー充電回路に問題を抱えていましたが、後に解決されました。打ち上げ時にはISSの規則から免除されていたため、ザーリャには米国基準並みのデブリシールドは備えられていませんが、周囲を他のモジュールに囲まれているため、衝突リスクは低いと考えられています。

製造

ザーリャは、モスクワにあるクルニチェフ国家研究生産宇宙センター (KhSC) で1994年12月から1998年1月にかけて製造されました。資金は米国が提供し、所有しています。ロッキードの「Bus-1」オプションよりも大幅に低価格であったため、ザーリャが採用されました。契約の一部として、ほとんど同一のモジュール（「FGB-2」と呼ばれている）が予備としてKhSCで製造されました。このモジュールの用途については、プログレス補給船の代替機、ドッキングと貯蔵庫のモジュール、汎用のドッキングモジュール、商用モジュール、独立した宇宙ステーションなど、様々な提案がなされました。

打ち上げ

1998年11月20日に、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地からロシアのプロトンロケットで打ち上げられ、400kmの軌道に投入されました。ザーリャの軌道投入後、1998年12月4日にスペースシャトル・エンデバーが打ち上げられ、ユニティモジュールが接続されました。この時、初めて宇宙飛行士がザーリャに入室し、備品の搬入や内部機器の整備を行いました。

ザーリャは6ヶ月から8ヶ月の間だけ自立的に飛行できるように設計されていましたが、ロシアのサービスモジュール「ズヴェズダ」の遅れにより、約2年間自立飛行する必要がありました。最終的に2000年7月12日にズヴェズダが打ち上げられ、7月26日にドッキングしました。

諸元

全長：12.56m
直径：4.11m
ソーラーパネルの全長：10.67m
ソーラーパネルの全幅：3.35m
質量：19,300kg

外部リンク

基本機能モジュール(FGB) - JAXA
* Zarya Module -- NASA

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