ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団

ドイツのオーケストラの一つに、ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団（ドイツ語: Deutsche Radio Philharmonie Saarbrücken Kaiserslautern）があります。この楽団は、ドイツ連邦共和国のザールラント州に位置する州都ザールブリュッケン市と、ラインラント＝プファルツ州の都市カイザースラウテルン市を拠点として活動しています。運営は、ザールラント放送協会（Saarländischer Rundfunk）と南西ドイツ放送協会（Südwestrundfunk、略称SWR）という二つの公共放送局が共同で行っています。初代首席指揮者はクリストフ・ポッペンが務めました。

沿革

この楽団は比較的新しく、2007年9月に二つの既存オーケストラが統合して設立されました。合併したのは、ザールラント放送協会所属の「ザールブリュッケン放送交響楽団」（Rundfunk-Sinfonieorchester Saarbrücken）と、SWR所属の「カイザースラウテルンSWR放送管弦楽団」（SWR Rundfunkorchester Kaiserslautern）です。

前身となった楽団の一つ、ザールブリュッケン放送交響楽団は、その歴史を1937年にまで遡る伝統あるオーケストラでした。活動の一環として、首席客演指揮者を務めたポーランド出身の巨匠スタニスワフ・スクロヴァチェフスキと共に、ベートーヴェンとブルックナーの全交響曲集を録音するなど、多くの録音実績を残しました。

もう一つの前身であるカイザースラウテルンSWR放送管弦楽団は、1951年に設立されました。この楽団は、南西ドイツ放送協会が当時擁していた三つのオーケストラの一つ（他にはシュトゥットガルト放送交響楽団、バーデン＝バーデン・フライブルクSWR交響楽団がありました）として活動しました。放送局の専属オーケストラとしての性格上、バロック音楽から現代音楽、さらには映画音楽に至るまで、非常に幅広いジャンルのレパートリーを演奏し、多角的な音楽活動を展開していました。

これら二つの個性を持つ放送オーケストラが統合することで、ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団が誕生し、両都市を拠点とする新たな音楽活動を開始したのです。

歴代指揮者

合併前の各楽団、そして合併後の当団で指揮者を務めた人物は以下の通りです。

ザールブリュッケン放送交響楽団

1946年–1971年: Rudolf Michl
1972年–1984年: ハンス・ツェンダー (Hans Zender)
1984年–1990年: チョン・ミョンフン (Myung-Whun Chung)
1990年–1995年: マルチェッロ・ヴィオッティ (Marcello Viotti)
1996年–2000年: マイケル・スターン (Michael Stern)
2001年–2006年: ギュンター・ヘルビヒ (Günther Herbig)
2006年–2007年: クリストフ・ポッペン (Christoph Poppen)

カイザースラウテルンSWR放送管弦楽団

1951年–1987年: Emmerich Smola
1987年–1995年: Klaus Arp
1995年–2001年: Peter Falk
2002年–2007年: Grzegorz Nowak

ザールブリュッケン・カイザースラウテルン放送管弦楽団 (合併後)

2007年–2011年: クリストフ・ポッペン
2011年–2017年: カレル・マーク・チチョン (Karel Mark Chichon)
2017年–現在: ピエタリ・インキネン (Pietari Inkinen)

当団は、二つの放送局の運営のもと、それぞれの前身オーケストラの歴史と経験を受け継ぎつつ、ドイツの公共放送を代表するオーケストラとして、演奏会や録音、放送などを通じて幅広い音楽活動を展開しています。最新の情報については、公式ウェブサイトを参照してください。

（公式サイト: Deutsche Radio Philharmonie Saarbrücken Kaiserslautern）

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