スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ

スタニスワフ・パヴェウ・ステファン・ヤン・セバスティアン・スクロヴァチェフスキ（1923年10月3日 - 2017年2月21日）は、ポーランド出身の指揮者、作曲家として、その名を世界に轟かせました。日本では「スタニスラフ」と表記されることもあります。

幼少期から音楽の才能を発揮し、4歳でピアノとヴァイオリンを始め、7歳でオーケストラ作品を作曲。11歳でピアニストとしてデビュー、13歳でベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を弾き振りするなど、神童ぶりを見せつけました。しかし、第二次世界大戦中の1941年、ドイツ軍の空襲で負傷し、ピアニストの道を断念。以後、作曲と指揮に専念することになります。

戦後、1946年にブロツワフ・フィルハーモニー管弦楽団、1949年にカトヴィツェ・フィルハーモニー管弦楽団、1954年にクラクフ・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者を歴任。1956年にはワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督に就任し、同年、ローマ国際指揮者コンクールで優勝。1958年にはジョージ・セルに招かれ、クリーブランド管弦楽団を指揮してアメリカデビューを果たしました。

その後、1960年から1979年までミネアポリス交響楽団（現ミネソタ管弦楽団）の音楽監督を務め、桂冠指揮者の称号も得ました。1984年から1991年には、イギリスのハレ管弦楽団の首席指揮者を務め、1994年からはザールブリュッケン放送交響楽団（現ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団）の首席客演指揮者を務めました。2007年4月から2010年3月まで読売日本交響楽団の第8代常任指揮者を務め、2010年4月からは同団の桂冠名誉指揮者となりました。

2011年5月には、病気療養中の小澤征爾の代役として、25年ぶりにベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮台に立ち、聴衆と楽団員から絶賛されました。日本では、NHK交響楽団や読売日本交響楽団、札幌交響楽団に客演。2011年8月には、フレデリック・ハリスによる伝記「Seeking The Infinite : The Musical Life of Stanislaw Skrowaczewski」が出版されました。

スクロヴァチェフスキの指揮は、細部まで丁寧に彫琢された音楽を積み重ねていくスタイルが特徴で、実力派指揮者として多くの音楽ファンから支持されています。1960年代から1970年代のミネアポリス交響楽団音楽監督時代には、マーキュリー・レーベルやVOXレーベルに録音を行い、その録音の質の高さでも注目を集めました。1990年代以降は、ザールブリュッケン放送交響楽団とのブルックナーの交響曲全集録音で、カンヌ・クラシック賞やマーラー・ブルックナー協会の金メダルを受賞し、日本でも広く知られるようになりました。

ウィーン国立歌劇場、メトロポリタン歌劇場、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団など、世界各地の歌劇場やオーケストラに客演。60年以上にわたるキャリアの中で、ブルックナー、ベートーヴェン、ブラームスなどの演奏が特に注目されがちですが、実際にはモーツァルトからメシアンに至るまで幅広いレパートリーを持っていました。特に、アメリカに渡った1960年代には、ストラヴィンスキー、ショスタコーヴィチ、プロコフィエフ、ラヴェルといった20世紀音楽や現代音楽のスペシャリストとして評価されていました。

スクロヴァチェフスキは作曲家としても才能を発揮し、戦後の1947年にはフランス大使館の奨学金を得てパリに留学。ナディア・ブーランジェやアルチュール・オネゲルに作曲を師事し、「ゾディアック」という前衛グループを設立しました。彼の作品は、ルトスワフスキとペンデレツキの中間世代のポーランド楽派における重要な位置を占めています。

2016年11月に脳梗塞で倒れ、2017年2月21日にミネアポリスの自宅で93歳で生涯を閉じました。

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