シェイクスピアの庭

『シェイクスピアの庭』（原題: All Is True）は、2018年に公開されたイギリスの歴史映画です。監督と主演を務めたのは、名優ケネス・ブラナー。ジュディ・デンチ、イアン・マッケランといった実力派俳優が脇を固め、劇作家ウィリアム・シェイクスピアの晩年を情感豊かに描き出しています。

物語は、1613年、シェイクスピアの劇『ヘンリー八世』上演中にグローブ座が火災で全焼してしまう場面から始まります。この災厄を機に、シェイクスピアは劇作家としての活動に区切りをつけ、故郷であるストラトフォード＝アポン＝エイヴォンへと帰郷します。

映画は、引退後のシェイクスピアが、故郷で過ごした最期の3年間を追います。家族との関係、特に亡くなった息子への想い、そして自身の過去と向き合いながら、静かに人生を終えようとするシェイクスピアの姿が、美しい映像と共に映し出されます。

主な登場人物

ウィリアム・シェイクスピア: ケネス・ブラナー (吹替: 菅生隆之)
引退を決意した劇作家。故郷で家族との時間を取り戻そうとする。
アン・ハサウェイ: ジュディ・デンチ (吹替: 谷育子)
シェイクスピアの妻。夫との間に複雑な感情を抱えている。
サウサンプトン伯爵: イアン・マッケラン (吹替: 羽佐間道夫)
シェイクスピアのパトロン。
スザンナ・シェイクスピア: リディア・ウィルソン (吹替: 熊谷海麗)
シェイクスピアの長女。
* ジュディス・シェイクスピア: キャスリン・ワイルダー (吹替: 木村香央里)
シェイクスピアの次女。

製作と公開

本作は、2018年10月にケネス・ブラナー監督によって極秘裏に撮影が完了し、ソニー・ピクチャーズ クラシックスが配給権を獲得しました。音楽はパトリック・ドイルが担当。同年12月にはオフィシャルトレーラーが公開され、アメリカではアカデミー賞のノミネート資格を得るために限定公開されました。2019年1月にはパームスプリングス国際映画祭で上映され、2月にはサウンドトラックが発売されています。

評価

『シェイクスピアの庭』は、批評家から概ね好意的な評価を受けています。映画批評サイトRotten Tomatoesでは、批評家支持率71%、平均点6.55/10という評価を得ており、「キャスト陣の演技が素晴らしく、映像も美しい。シェイクスピアの最晩年の悲哀を描いている」と評されています。Metacriticでは、32件のレビューに基づき、加重平均値59/100となっています。

作品の魅力

本作は、シェイクスピアの人間としての側面を深く掘り下げた作品として評価されています。華やかな劇作家としてのイメージとは異なる、家族との葛藤や喪失感を抱えながら生きる等身大の姿が、ケネス・ブラナーをはじめとする俳優たちの演技によって見事に表現されています。シェイクスピア作品のファンはもちろん、歴史ドラマや人間ドラマを好む観客にとっても見応えのある作品と言えるでしょう。

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