シェイク・エム・オン・ダウン

シェイク・エム・オン・ダウン (Shake 'Em On Down)

「シェイク・エム・オン・ダウン」は、アメリカのブルースシンガー、ブッカ・ホワイトが1937年に発表した楽曲で、デルタ・ブルースの名曲の一つとして広く知られています。この曲は、ホワイトにとっての代表的な作品であり、シカゴ・ブルースのレパートリーにも取り入れられています。

背景

1930年代に、ホワイトは数枚のレコード録音を行い、その後ヴォカリオン・レコードのプロデューサー、レスター・メルローズに注目されました。1937年には、シカゴでレコードを吹き込む予定がありましたが、ホワイトは銃撃事件により逮捕され、ミシシッピ州のパーチマン刑務所での実刑判決を受けました。しかし、彼は一時的に保釈され、この間に「シェイク・エム・オン・ダウン」と「Pinebluff, Arkansas」の二曲を録音しました。

オリジナル録音

「シェイク・エム・オン・ダウン」は、その特徴的なシャッフルリズムとともに、歌われる歌詞の内容も際どく、リスナーの興味を引きます。この曲は、ホワイトの強いボーカルとギターに加え、未知のセカンド・ギターのプレイヤーによる演奏が特徴です。録音はEのキーで、4分の4拍子、12小節のブルースという形で制作されました。

この曲は瞬く間にヒットし、ホワイトは刑務所内での有名人となりました。そのため、ミシシッピ州知事が刑務所を訪れた際には、ホワイトの演奏が披露され、彼は知事が自分を知っていたことに驚いたと語っています。ホワイトは約2年半の服役を経て、再びメルローズの支援により録音活動を再開することができました。

他の録音

ブッカ・ホワイトの成功を受け、多くのアーティストが「シェイク・エム・オン・ダウン」をカバーしました。ホワイトの名義で吹き込まれたものもあれば、「Ride 'Em on Down」や「Break 'Em on Down」といった形で名を変えて演奏された曲もあります。ビッグ・ビル・ブルーンジーは1938年にこの曲を録音し、ホワイトのオリジナルよりも大ヒットを記録しました。

他にも、トミー・マクレナンやビッグ・ジョー・ウィリアムズなど、多くのアーティストがこの曲をカバーし続けました。特に、ミシシッピ・フレッド・マクダウェルは1972年のアルバム『Live in New York』にこの曲を収録しており、エレクトリック・スライド・ギターによる演奏が印象的です。

イギリスのロック・バンド、サヴォイ・ブラウンは1967年に「シェイク・エム・オン・ダウン」を収録し、レッド・ツェッペリンも1970年代にこの曲に似た歌詞を採用するなど、広範囲にわたって影響を及ぼしています。また、R・L・バーンサイドやノース・ミシシッピ・オールスターズはこの曲を繰り返し演奏し、現代のブルースシーンでも引き続き評価されています。

このように、「シェイク・エム・オン・ダウン」は、ブッカ・ホワイトの名声を築き上げただけでなく、後世のブルースアーティストにも多大な影響を与えた楽曲となっています。

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