シェップ石

シェップ石：希少なウラン鉱物

シェップ石は、ウランを主成分とする鉱物の一種です。その化学組成式は(UO2)8O2(OH)12・12(H2O)と複雑ですが、ウランの熱水鉱床において、他のウラン鉱物から変化することで生成されます。具体的には、閃ウラン鉱やヤンシナイトと呼ばれる鉱物が、地質学的過程を経てシェップ石へと変化することが知られています。

シェップ石は、その美しい外観で知られています。レモンイエローから黄褐色までの様々な色合いの結晶を形成し、透明から半透明のものまであります。結晶の形は多様で、20種類以上の結晶形が確認されています。しかしながら、これらの結晶は非常に小さく、肉眼では確認しにくいことが多く、微結晶の集合体として産出されることは稀です。

特徴的なのはその不安定性です。シェップ石は空気中に晒されると、酸化反応を起こしやすく、数ヶ月という比較的短い期間でメタシェップ石(UO3・nH2O, n < 2)へと変化してしまいます。この性質のため、標本として保存するには、特別な注意が必要です。

シェップ石の物理的性質としては、硬度が2.5と比較的柔らかく、密度は4.8 g/cm3です。条痕（鉱物を硬いものにこすりつけた時にできる粉末の色）は黄色です。

シェップ石が最初に発見されたのは1923年、コンゴ民主共和国のシンコロブエ鉱山でした。その後、世界各地で産出が確認されていますが、いずれも産出量は少なく、希少な鉱物として知られています。

鉱物名は、ベルギーのゲント大学で鉱物学教授を務めたアルフレッド・シェップ (Alfred Schlippe, 1881–1966) にちなんで名付けられました。彼の鉱物学への貢献を称えて、この希少なウラン鉱物が彼の名を冠することとなったのです。シェップ石の発見と命名は、ウラン鉱物研究の歴史において重要な出来事の一つと言えるでしょう。

シェップ石は、その希少性と美しい結晶、そして不安定な性質から、鉱物愛好家や研究者にとって非常に興味深い鉱物です。今後も、新たな産地や結晶構造の発見が期待されています。

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