シンコロブエ鉱山

シンコロブエ鉱山の概要

シンコロブエ鉱山は、かつてコンゴ民主共和国のカタンガ州にあったウラン鉱山で、その歴史は国際的な関心を呼ぶ理由が多くあります。この鉱山は1960年代までは、有名なウラン産出地として知られ、ユニオン・ミニエール社によって開発されました。当時、アメリカ合衆国はマンハッタン計画に従い、原子爆弾の材料を確保するため、シンコロブエ鉱山からのウランに大きく依存していました。

1948年の段階で、アメリカ国内では約100万トンのウラン鉱床しか発見されておらず、需要の90％をベルギー領コンゴからの供給に頼っていました。そのため、シンコロブエ鉱山は極めて重要な供給源であり、金鉱の残渣、低品位の燐酸鉱物、頁岩から得られる八酸化三ウランをポンドあたり30から40ドルで取引されていました。

しかし、鉱山の運営は1960年代に終了し、その後は長い間閉山していました。その後、1990年代に政府がコバルト鉱石の採掘を許可すると、地元の中小業者が採掘を始めるようになりました。すると、次第にコバルトの採掘が主な目的ではなく、微量ながらウランを盗掘することへと変わっていきました。

2004年の出来事がこの鉱山に注目を浴びせます。コンゴ政府が首都キンシャサで約100kgのイエローケーキ、すなわち粗精錬されたウラン鉱石を押収しました。その数ヶ月後の7月にはシンコロブエ鉱山での落盤事故によって、8人の死傷者が出る事件が発生し、これが引き金となり、鉱山でウランの採掘が行われていた事実が明らかになりました。その後、政府はこの地域への立ち入りを禁止しました。

国際的な調査

2004年10月、国連環境計画、国際連合人道問題調整事務所の協力のもと、調査団が結成されました。この調査団には世界保健機関、国際原子力機関、国際連合コンゴ民主共和国ミッションなどの専門家が参加しました。調査の結果、シンコロブエ鉱山での最盛期には1万人以上の労働者が存在したと推測されることが分かりました。

多くの労働者は非常に危険な方法でウランを採掘していたため、被曝による健康被害が報告されるようになりました。しかし、シンコロブエ鉱山で採掘されたウランの総量やその配分先は不明であり、相当量のウランが核の闇市場に流出した可能性が高いとされます。

シンコロブエ鉱山は、その歴史と国際的な影響から、現在も関心を引き続けています。鉱山の閉鎖後も、その周辺で発生した問題は、地域社会や国際社会に対して重大な警告を発しているのです。

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