シェリー (ワイン)

シェリー：スペインが誇る酒精強化ワイン

シェリー（Sherry）は、スペイン・アンダルシア州のヘレス・デ・ラ・フロンテーラとその周辺地域で生産される、独特な酒精強化ワインです。スペイン語では「ビノ・デ・ヘレス（Vino de Jerez）」と呼ばれ、ポートワイン、マデイラワインと並び、世界的に有名な酒精強化ワインの一つとして知られています。

シェリーの基礎知識

• - 原料: 白ブドウのみを使用
• - 種類: 白ワインの一種（蒸留酒やリキュールではない）
• - 原産地呼称: 「ヘレス＝ケレス＝シェリー」としてDO（デノミナシオン・デ・オリヘン）に認定
• - 製法: 20種類以上
• - ワイナリー数: 60社以上
• - ラベル数: 1,000種類近く

シェリーの歴史

シェリーの歴史は古く、紀元前のフェニキア人がこの地にブドウ栽培をもたらしたことに始まります。ローマ時代にはヘレス産のワインがローマに輸送され、中世にはアラブ人の支配下に入りました。アラブ人は原則として飲酒を禁じていましたが、レーズンを作るためにブドウ栽培は続けられました。

12世紀にはヘレスのワインがイングランドに輸出されるようになり、14世紀にはイングランドで人気を博しました。16世紀には新大陸にも輸出され、マゼランの世界周航にも携行されるなど、世界的な広がりを見せました。

シェリーの名称

シェリーという名称は、アラブ人がこの地を「シェリシュ」と呼んだことに由来します。これが英語で「Sherry」となり、ワイン名として定着しました。一方、スペイン語では「ヘレス（Jerez）」と呼ばれ、フランス語では「ケレス（Xérès）」と表記されます。

シェリーの製法

シェリーの製法は非常に多様で、20種類以上の製法が存在します。その中でも特徴的なのが、ソレラ熟成システムと呼ばれる独特の熟成方法です。これは、複数の収穫年のワインをブレンドして、常に一定の品質を保つための熟成方法で、シェリーの個性を生み出す重要な要素となっています。

シェリーの種類

シェリーは、その製法や味わいによって様々な種類に分けられます。代表的なものとしては、以下のようなものがあります。

• - フィノ: 辛口で、フレッシュな香りが特徴
• - マンサニーリャ: フィノと似ているが、サンルーカル・デ・バラメダでのみ造られる
• - アモンティリャード: フィノが酸化熟成したもので、ナッツのような香りが特徴
• - オロロソ: 酸化熟成によって造られる、濃厚な味わいが特徴
• - ペドロ・ヒメネス: 天日干ししたブドウから造られる、極甘口のシェリー

シェリーと文化

シェリーは、多くの文学作品や映画に登場するなど、文化的な側面も持ち合わせています。シェイクスピアの作品には頻繁に登場し、イギリスでの人気に火をつけました。また、ベネンシアドールと呼ばれるシェリーのテイスターは、熟練した技術でシェリーの品質を見極めます。

シェリー樽の利用

シェリーを貯蔵していた樽は、その独特の風味を活かすために、ウイスキーや焼酎などの熟成にも利用されています。シェリー樽で熟成されたお酒は、甘く芳醇な香りをまとい、特別な風味を醸し出します。

まとめ

シェリーは、スペインのアンダルシア地方で造られる、歴史と伝統に彩られた酒精強化ワインです。その多様な種類、独特な製法、文化的な背景など、様々な魅力を持っています。ぜひ一度、シェリーの世界に足を踏み入れてみてください。

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